秘密保持契約書とは

1 秘密保持契約書とは

「秘密保持契約書」は、主には、企業同士が取引を開始するにあたり、開示する企業が保有する技術情報などの秘密情報の漏洩を防ぐ目的で作成される契約書です。英訳は、Non-disclosure agreementであるため、略してNDAとも呼ばれる契約書です。

 

企業間で取引を開始するにあたっては、例えば、開発したシステムを製品化する場合に、システム開発をした会社が、製品を製造する会社に技術上の情報や営業上の情報、などを開示する場合があります。

 

一口に企業が保有する「情報」といっても様々ありますが、秘密保持契約書を考えるうえにおいて念頭におくべき「情報」は、主には、秘密情報として管理することで、他社との差別化を図り、自社の競争力を高めることとなる、そして「秘密」することによってこそ意味のある、企業にとって資産価値のある情報です。

上記の例のように、企業が事業活動を行ううえにおいては、他者に開示しなければならない情報がある一方で、それが漏洩してしまった場合には、取引の機会が奪われて競争力が低下したり、企業の信用が低下したり、法令に違反したり、といった開示する企業側にとって致命的な結果を招く場合があります。

「秘密保持契約書」は、このような視点をもって特定される「秘密情報」の取扱について、企業間で取り決めを行う契約です。

2 秘密保持契約書の一般的な記載事項

乙は、本契約の履行にあたり、甲が秘密である旨を明示して開示する情報及び本契約の履行により生じる情報(以下「秘密情報」という。)を秘密として取り扱い、本契約に定める場合その他甲の事前の書面による承諾なく第三者に開示してはならない。口頭、映像その他その性質上秘密である旨の表示が困難な形態又は媒体により開示、提供された情報については、甲が乙に対し、秘密である旨を開示時に伝達し、 かつ、当該開示後7日以内に当該秘密情報を記載した書面を秘密である旨の表示を して交付することにより、秘密情報とみなされるものとする。

 

開示する側からすれば、秘密情報の範囲を限定する必要がありますし、開示される側としても、秘密保持契約によって、禁止される内容や、損害賠償リスクも生じます。秘密情報の範囲は、一方当事者だけが開示するのか、双方が開示するのかによっても、規定の仕方が変わってきますが、いずれにしても、厳密に特定すべき内容であることに変わりはありませんので、ご留意ください。

 

以下の情報は秘密情報の対象外とするものとする。

①開示を受けたときに既に保有していた情報

②開示を受けた後、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報

③開示を受けた後、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報

④開示を受けたときに既に公知であった情報

⑤開示を受けた後、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報

 

情報の内容次第では、正当な理由によって開示すべき情報が存したり、既に秘密とする必要のない情報が含まれる場合があります。開示される側としても、このような情報についてまで義務を負わされることのないよう、一般的には上記例文のような除外規定を設けています。但し、開示する側からすると、除外される秘密情報が本当に開示時点で開示を受ける側が持っていた情報かどうかが分かりません。したがって、開示する側に立った契約書を作成する場合には、例えば、「乙が書面により具体的証拠を提示できる場合に限り」といった限定を加えることも行っています。

 

乙は、秘密情報は本契約の目的の範囲内でのみ使用する。

 

開示する側からすると、あくまで秘密情報は、契約を進めるうえで必要であるから開示するものです。当然これを競業目的で利用されないよう留意しておく必要がありますので、開示の目的については、必ず定めておく必要があります。

 

乙は、秘密情報の管理責任者及び保管場所を定め、善良なる管理責任者の注意をもってこれを管理する。
乙は、秘密情報の管理責任者名、秘密情報を取り扱う従業員の氏名及び秘密情報の保管場所を、本契約に基づき甲が乙に秘密情報を開示するまでに甲に報告する。
乙は、秘密情報を取り扱う従業員に対して本契約の内容を周知徹底させるとともに、秘密情報の漏えい、紛失等を防止するための措置を講じなければならない。

 

秘密情報は、必要最小限の範囲で開示しなければなりません。開示目的の限定も同様の発想ですが、開示する範囲や、開示された者の情報管理のあり方についても、可能な限り契約によって規定しておくことが望ましいといえます。
上記例文は、秘密情報の開示範囲を限定し、開示される側に対しては、情報を取り扱う従業員に対して、情報漏洩等のないように社内的な義務を課すよう、その措置を求める規定となっています。

 

甲の書面による承諾を得た場合を除き、秘密情報を複写、複製しない。

 

秘密情報の開示範囲をいくら限定しても、これが不必要に複写、複製される場合には、やはり情報漏洩のリスクが生じます。よって、上記条項を入れたうえ、さらに開示されたオリジナルの秘密情報、承諾を得て複写された秘密情報については、契約終了後等に開示側が確認出来る内容をもって破棄することまで求めることが必要です。

 

乙または乙の従業員(甲の承諾を受けて開示したその他の第三者も含む)が本契約の条項に違反した場合には、乙は、甲が必要と認める措置を直ちに講ずるとともに、甲に生じた損害を賠償しなければならない。

 

開示を受けた側に契約違反があった場合の損害賠償請求等に関する条項です。
このような規定を設けなくても、損害賠償請求ができることは民法に規定されています。
したがって、このような損害賠償の規定を設けることの意味は、基本的には明確に規定されていること以外の情報を盛り込むことにあるといえます。
上記例文では、違反を行う者の範囲、違反があった場合に甲の求める措置を講ずべき義務の点で、民法の規定以上の義務を開示を受けた側に負わせるものといえま  す。
損害賠償の条項ではさらに、違反があった場合の損害額の算定が難しいことから、
損害賠償額の推定を定める場合もあります。

 

本契約の有効期限は、本契約の締結日から起算し、2年間とする。
但し、第○条、第○条の規定は、本契約終了後も効力を失わないものとする。

 

契約の有効期間についての条項です。

ここで注意すべき点は、どのような義務がどの時点まで続くかということです。

情報を開示する側からすると、開示した相手方に秘密情報を利用した競業がなされたりしないよう、秘密保持の義務については、契約終了後の期間を設けたくないのが一般です。一方、開示を受けた側としては、いつまでも秘密保持義務を負うのでは、それに伴う損害賠償請求等のリスクもあるため、過度に事業活動が制限されてしまいます。

以上のような点に留意して、契約の締結交渉を行う必要があります。

 

4 不正競争防止法でいう「営業秘密」との関係

不正競争防止法では、企業が持つ秘密情報が不正に持ち出されるなどした場合に、民事上、刑事上の措置を求めることが出来きることとされています。

しかし、不正競争防止法において、このような保護の対象となる秘密情報は、以下の要件を満たす「営業秘密」でなければなりません。

① 秘密管理性
まず、秘密として管理されていることが必要で、秘密として管理する意思については、従業員らがこれを認識できる状態にしておかなければなりません。
② 有用性
また、そのような情報が事業活動に利用され、それによって経営効率の改善などに役立つようなものである必要もあります。
③ 非公知性
そして、そのような情報は、保有している企業の管理下以外では一般に入手できないものである必要もあります。
したがいまして、秘密情報については、不正競争防止法でも保護されているから、という理由では、十分な情報管理が出来ませんので、留意が必要です。

5 グロース法律事務所が作成し、チェックする秘密保持契約書

当事務所では、開示を受ける側、開示される側、いずれの立場における契約書においても、数多くの事例を経験した弁護士が対応いたします。入手できるひな形を利用される場合においても、貴社の実情に応じた契約書にしていただけるようアドバイスしていますので、遠慮なくご相談ください。

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