介護事業所における契約トラブル

介護サービスを提供するにあたり、介護保険サービス提供者は利用者に対し、介護保険対象サービスについて重要事項説明書を交付した上での説明を義務付けられていますが、契約書の作成を義務付けられているわけではありません。

しかし、介護サービスの内容は多岐にわたりますし、事後の紛争をあらかじめ防止する観点からも、利用者との間で契約書を作成することは必須であると言えます。そこで、本稿では利用者との契約書締結時のポイントについて記載します。

 

サービス内容の明確化

介護サービス開始後、介護サービス提供者と利用者との間で行うべき介護サービス内容の認識に齟齬がある場合があります。このような齟齬があると、介護サービス提供者と利用者との間で後に紛争が生じかねません。

そこで、契約書に提供する介護サービスの内容を明記し、両社で行われるべき介護サービス内容の認識を一致させ、後に介護サービスの内容の認識に齟齬があることが発覚した場合に互いに確認できるようにしておくことが必要です。

具体的には介護サービス内容はケアプランや要介護度によって異なることになりますので、ケアプランや要介護度に合わせた介護サービス内容を一覧にしてわかりやすく表記する工夫も必要でしょう。日本弁護士連合会のホームページに掲載されている契約書モデル案では、サービス内容について契約書とは別途サービス内容説明書を作成し、実施されるべき介護サービス内容を明示しています。

 

料金の明記

各介護サービスの料金をあらかじめ明記しておく必要があります。そして介護サービス料金を記載する際は、当該サービスが介護保険対象であるか(一部自己負担)、介護保険対象外サービスであるか(全額自己負担)についても明記しておくことが必要です。これを明記しておかなければ、ある介護サービスについて「介護保険給付の範囲内であると思っていた」として、料金の支払いトラブルに発展しかねません。

この代金の明記は上述の介護サービス内容を記載する際に、料金及び介護保険の対象の有無も併記すると利用者にとって理解しやすくなります。

また、料金の明示と共に当該料金の支払い方法や支払い時期も定めておくべきでしょう。

 

契約終了に関する事項

どのような事由があれば契約が終了になるのか、また、どのような事由があれば契約の解除が可能であるのかを明記しておく必要があります。但し、介護サービスは利用者にとって生活の基盤になるものであることから、介護サービス提供者からの解除の要件については慎重な判断がなされるべきとされています。

主な契約終了事由については次のようなものが考えられます。

・要介護認定の更新時に自立又は要支援と認定されたとき(要介護ではなくなったとき)など、利用している介護サービスの対象を外れた場合

・利用者の病気や怪我等により病院に入院する必要が生じたとき

・契約期間の満了

また、契約解除事由としては次のようなものが考えられます。

・利用料の未払いが一程度に達し、催告しても支払われない場合

・利用者が他の利用者や従業員の身体生命財産に重大な危害を及ぼす危険があり、これを十分に防止することができないと判断したとき

・ケアプランの作成に協力せず、ケアプランが作成できないとき

・その他信頼関係を破壊する重大な事由が生じたとき

 

身元引受人・保証人の責任の範囲

特に入居型の介護サービスの場合、身元引受人や保証人を定めることも多くあります。この場合、身元引受人・保証人の責任や義務の範囲を明確に定めておくことが必要です。

利用者の負担すべき一切の債務(利用料の未払いや施設に損害を与えた際の賠償義務)を負担させるのか否か、医療行為が必要になった際の同意者としての責任、利用者退去時・死亡時の残置物の引取りなど、身元引受人の義務について具体的に明らかにしておく必要があります。

 

意思能力を欠く利用者との契約について

介護サービスの契約を締結するにあたり、利用者が適切な判断能力を欠き、契約を締結するために必要な意思能力がない可能性があります。意思能力がない人との契約は無効となってしまいますので、そのような場合は成年後見人を選任し、成年後見人との間で契約を締結する必要があります。

介護サービス提供者は、契約締結時に意思能力があるか疑わしい場合は、医師の診断・意見を聞いたうえで、意思能力がないと判断した場合は、成年後見人を選任したうえでないと契約締結ができない旨を家族等に説明すべきでしょう。

 

以上、介護サービス契約書におけるポイントをいくつか挙げました。グロース法律事務では介護事業所における利用者との契約書チェックも行っておりますので、いつでもご相談ください。

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