株式会社の機関設計についての基本的な考え方

1 はじめに

株式会社には、株主総会・取締役・取締役会・会計参与・監査役・監査役会・会計監査人・委員会といった「機関」が法律上設けられています。
会社は、自然人ではなく、法律上作られた一つの主体で、いわば架空の人です。そのため、誰かの自然人の意思決定や活動を法律上会社の意思決定や活動とする必要があります。

そこで、ある会社の組織上の者の意思決定や活動を会社の意思決定や活動とすることとし、その地位にある者を会社の「機関」と呼んでいるのです。
しかし、機関については、組み合わせが多種多様であり得ることから、自分の会社にとってどの設計が適しているのかが、なかなか分かりにくくなっています。

本稿を読み進めていただく上では、以下のポイントを抑えていただくだけでも、より理解を深めていただけると思います。

①大会社と非大会社で分けている。

大会社は、取引量も多く、企業をとりまく利害関係人を保護する要請が強いため、より監視強化が求められる。

②公開会社と非公開会社で分けている。

非公開会社は、株主が原則的に固定(譲渡が制限)されるため、株主による業務監査が行き届き易い。

③所有と経営の分離が進んでいないパターンと、所有と経営が分離し、本来、株主総会が権限をもっているものが、業務の効率化などのために、取締役に権限委譲されているパターンとを対比する。

前者では、取締役の監督は相互に行われ、株主による経営監視が行き届き易いが、後者は、経営に対する監視強化がより求められる。

④所有と経営の分離、監視を以下の分類で整理する。

所有=株主
経営=取締役・取締役会
監視=監査役・監査役会、委員会等、会計監査人、会計参与

2 比較による整理

機関設計については、極端な二つの例の比較を出発点とすると理解が深まります。

二つの例とは、取締役会設置のない非公開会社と、大会社たる公開会社です。

なお、大会社とは、最終事業年度の貸借対照表上の資本金額が5億円以上または負債合計が200億円以上の会社をいいます。)。

また、非公開会社とは、定款で全ての株式に譲渡制限が設けられている会社をいいます。

 (1) 取締役設置のない非公開会社

このような会社の場合、機関は、「株主総会」+「取締役」だけになります。

全ての株式譲渡が制限されていますので、株主が頻繁に代わることも想定されず、概ね特定の株主の意向に沿って取締役が選任されています。

つまり、取締役に対しては、株主、株主総会の立場から監視が行き届き、また、取締役が複数選任される場合でも、取締役同士で監視ができるような関係にある、ということが想定される会社です。

換言すれば、わざわざ外部の監視を設ける必要性にも乏しい形態の会社ということができます。

 (2) 大会社たる公開会社

大会社では、取引量が相当に多く、多数の利害関係人が生じます。

また、経営の効率化のため、株主総会に本来にあった権限が多く経営に移譲されており、利害関係人程のため、経営監視が強く求められます。

そこで、まず、大会社においては、会計監査人を必ず置かなければならない、とされています。これは必須で設計上動くことはありません。

そして、公開会社の場合、株主の数も多くかつ株式も流通性が高いことから、株主の個性も失われています。つまり、「所有」する株主間の人的関係は希薄で、特段の信頼関係もなく、株主による監視が十分に期待できない側面が生じてくることから、機関を分化させ、外部による監視の目をより強く していく必要が生じてきます。

以上から、大会社たる公開会社においては、以下の3つの機関設計しかありません。

① 「株主総会」+「取締役会」+「監査役会」+「会計監査人」
② 「株主総会」+「取締役会」+「3委員会」+「会計監査人」
③ 「株主総会」+「取締役会」+「監査等委員会」+「会計監査人」

3 まとめ

貴社にもっとも適した機関設計が何かを探るにあたっての視点は以上のとおりです。

大会社or非大会社、公開会社or非公開会社という分類を前提に、法律上絶対に設置が求められている機関については、それを設置するとしたうえで、経営の効率化、専横の抑制といった視点で、実態に合わせたバランスの良い機関設計が求められています。

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徳田 聖也

徳田 聖也

京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。

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