株主総会の議事と運営

1 株主総会の流れ

株主総会は株式会社の基本的意思を決定するための最高の意思決定機関であることから(別稿「株主総会について」参照)、適切に議事運営を行い実施されなければなりません。

株主総会の議事運営の流れについて特に会社法にて定められてはいませんが、一般的な流れは以下のとおりです。

・議長就任
・開会宣言
・株主数の報告及び定足数充足宣言
・監査報告
・事業報告・営業報告
・議案上程
・審議方法の確定(一括上程方式・個別上程方式)
・質疑応答
・議案に対する採決
・閉会宣言

2 議長の選任及び権限

(1) 議長の選任

株主総会において議長の選任は成立要件ではありませんが、株主総会の議事の運営を円滑にして、公正を確保するために通常議長が選任されます。

議長の選任方法は、定款に議長選任の規定が設けられていることが多く、その規定に従って選任されます。定款に議長選任の規定がない場合、または定款で定められた方法では議長を選任できない場合などは株主総会にて議長を選任することができます(普通決議)。

(2) 議長の権限

議長の権限については、会社法315条第1項により「株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する」とされており、秩序維持権と議場整理権を有しています。

議長は議事進行方法について広く合理的な裁量に委ねられていると解されていますが、他に、秩序維持権に基づき、不規則発言を行う株主の発言を制限し、また命令に従わないなど当該株主総会の秩序を乱す者に対して退場を命じることができます(会社法315条第2項)。但し、株主は退場を命じられると当該株主総会において議決権行使の機会を奪われることになることから、議長が退場を命じることができるのは、他のより穏当な方法では秩序の維持が図れない場合にのみ認められると考えられ、まずは注意・警告を行うなどの措置を行うことが必要です。

議場整理権としては、議長は株主総会の開会・閉会の宣言、株主や代理人の資格確認、手荷物検査、休憩、一括上程方式の可否、発言の許可・制限、株主の質問者に対する回答者の決定、質疑の続行・打ち切り、採決の方法の決定などが挙げられます。

当然、上記の議長の権限は適切に行使される必要があり、適切に行使されなかった場合は、株主総会決議取消事由となりえることから、注意が必要です。

3 一括上程方式と個別上程方式

株主総会の議事運営の方法には一括上程(審議)方式と個別上程(審議)方式があります。

一括上程方式とは全ての議案を一括して上程した後、全ての議案についての質問を行い、最後に議案について採決を行う審議方式をいいます。

一方、個別上程方式とは個々の議案ごとに審議・質問・採決を行う審議方式をいいます。

いずれの審議方式を採用することも可能ですが、一括上程方式を採用する会社が多いようです。

4 株主の質問と説明義務

取締役・会計参与・監査役及び執行役員は株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明を行わなければなりません(説明義務。会社法314条)。この説明義務が果たされなかった場合は、株主総会の決議取消事由に該当することがあり得るため、株主総会でなされた株主からの質問には真摯に対応する必要があります。

ただし、以下の場合には説明義務は生じません。

・質問事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合
・説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合
(会社の企業秘密にかかわる場合など)
・説明をするために調査をすることが必要な場合
(但し、相当期間前に株主が質問事項を通知した場合などを除く)
・説明をすることにより会社その他の者(当該株主を除く)の権利を侵害することとなる場合
・実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合
・その他説明をしないことに正当な理由がある場合

説明義務は株主総会の目的である事項に関する場合にのみ生じます。これは、取締役等の説明義務は、株主総会において議題の審議を行うにあたって必要な情報を提供することを目的としていることを表しています。
また、株主からの質問に対する説明に必要な程度については、当該質問を行った株主を基準とするのではなく、一般的平均的な株主を基準として議案に対する合理的な判断に客観的に必要な程度の説明が必要とされており、かつ、それをもって足りるとされています。

5 最後に

株主総会の議事運営については、取締役等の説明義務を果たすための事前準備(想定問答等)と共に当日の運営を円滑に行う為のシナリオの作成も重要です。株主総会の運営についてご質問やご不安がある場合は、弊所までご相談ください。

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徳田 聖也

徳田 聖也

京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。

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