取締役会の運営

本稿では、取締役会の運営に関する諸制度、諸論点について解説致します。
  

1 取締役会の招集

取締役会の招集については、概要、原則的には、以下のような制度設計がなされています。
  
  ・常時開催ではなく、必要に応じて開催される。
  ・招集権者が各取締役に通知して招集する。
  ・招集通知は、会日の1週間前に発する。
  ・招集通知の方法に制限はない。
  ・招集通知に議題記載は不要である。
  ・招集権は原則として各取締役が有する。
  
このような原則論に対しては、法律の趣旨から次のような例外が認められています。
  
招集手続は取締役や監査役に出席の機会を与えるためのものですので、全員が同意すれば、招集手続を行わず、予め定めた特定の日に定例的に取締役会を開催することも可能です。
  
また、取締役会は、取締役の業務執行を監督する機能を持ち、臨機応変な対応が求められる機関ですので、仮に予め示された議題以外の議題が取り上げられたとしても、これを取り上げなければなりません。
  
監督の実効性という点では、招集する取締役を定款等で定めたいた場合においても、それ以外の取締役は、会議の目的事項を示して、取締役会の招集を求めることが出来ますし、この請求日から5日以内に、請求日から2週間以内の日を会日とする取締役会の招集通知が発せられないときは、請求をした取締役は、取締役会を招集することができるものとされています。

2 決議の方法

 (1) 決議要件の原則

取締役は、株主から、その者・個性に着目して、経営の委任を受けたものであり、それぞれが独立した立場において役割を果たすことが求められています。その点で、株主のように少数株主保護といった要請は基本的に働きませんし、独立した1人1人の権限行使が求められています。

  
このような趣旨を反映して、取締役会では、次のような決議要件が規定されています。
  
   ・定足数は、議決に加わることが出来る取締役の過半数の出席により、定款で加重は出来るが、軽減は出来ない
   ・1人一議決権であり、代理行使は認められない。
 

 (2) 特別利害関係を有する取締役について

取締役は、株主から取締役個人の利益のためではなく、会社、ひいては株主の利益のために経営の委任を受けた者です。また、取締役には忠実義務違反があり、利害関係事項につき、忠実義務違反が生じないよう予防する必要もあります。
  
したがって、特別利害関係を有する取締役は取締役会において議決権を行使することが出来ないとされています。
  
ここで「特別利害関係」とは、上記した趣旨に鑑み、取締役の忠実義務違反をもたらすおそれのある、会社の利益と衝突する取締役の個人的利害関係をいうとされています。
  
具体的には、
  
 ・取締役の競業取引
 ・取締役と会社の間の取引の承認
 ・代表取締役の解任決議の対象となる当該代表取締役(最判S44.3.28)
  
がこれに当たるものと考えられています。
  
但し、招集通知自体は必要とされていますので、ご留意下さい。

3 取締役会決議の瑕疵

一般に、決議の瑕疵、という場合には、その手続に瑕疵がある場合、あるいは内容に瑕疵がある場合をいいます。株主総会決議においては、決議の瑕疵に関し訴えの諸制度が設けられていますが、取締役会においては、特に規定がありません。
  
 規定がないというのは、瑕疵があっても決議が有効ということは意味せず、原則として、瑕疵ある決議は無効とされます(決議無効確認の訴えが提起可能です)。
  
 どのような場合に瑕疵があるか、ということについては、相互牽制相互監視、1人1人の個性に期待された議決権行使という点からは、例えば招集通知漏れが一部取締役にあった場合も、決議無効の原因と考えられています。
  
 また、監督機能という点では、監査役への招集通知漏れも、決議無効の原因と考えられています。

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谷川安德

谷川安德

大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。
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