社外取締役とは~その要件と意義・会社に求められる対応~

1 社外取締役とは何か(会社法第2条第5号)

会社法上、社外取締役とは、株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいうとされています。 

 

イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。

 

ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。

 

ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。

 

ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。

 

ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。

 

この条文から分かることは、要するに、

①業務執行を受託されていない取締役であること

②経営陣から独立性を有すること

の二つが求められている取締役であるということです。

 

2 なぜ社外取締役制度が導入されたのか

このような1①②を要素とする社外取締役制度が設けられた趣旨は、厳密な意味でも、終身雇用、年功序列による従業員からの経営陣への転向、家族経営的な会社という日本の会社に特有の経営においては、取締役同士による相互監視には限界があるということにもよります。

そこで、コーポレートガバナンス向上のため、業務執行を担当しない代わりに、会社の経営、業務執行が適正になされているかを外部の視点から監督、モニタリングする制度が導入されたのです。

 

3 社外取締役の設置が必要とされる会社

(1) 法律上必要とされる場~法的義務

ア 2名以上

会社の機関設計において、「指名委員会等設置会社」又は「監査等委員会設置会社」を設置する場合には、最低2名以上の社外取締役を設けることが必要です。

公開会社かつ大会社の場合には、「監査役会設置会社」、「指名委員会等設置会社」又は「監査等委員会設置会社」のいずれかの設置が求められており、後ろ2つの機関設計においては、上記のとおり2名以上の社外監査役の設置が必要です。

イ 1名以上

また、令和元年会社法改正(令和331日施行)により、次の二つを満たす会社については、最低1名以上の社外取締役の設置が義務付けられることになりました。

監査役設置会社のうち、

①公開会社かつ大会社である監査役会設置会社で、かつ

②金融商品取引法上の有価証券報告書の提出義務がある会社

監査役会設置会社は、上場企業で最も多い機関設計でしたが、この②の要件によって、監査役会設置会社である上場企業は全て、社外取締役を最低1名以上設置しなければならないこととなりました。

(2)  東証上場規程との関係

東京証券取引所の有価証券上場規程では、上場会社は下記の機関を置くこととされています。

①取締役会

②監査役会設置会社、指名委員会等設置会社又は監査等委員会設置会社

③会計監査人

したがって、上場のための機関設計との関係で前記した(1)の社外取締役の員数を満たすことが求められます。

また、法的拘束力はありませんが、東京証券取引所の上場規程の一部として適用されているコーポレート・ガバナンス・コードにおいて、上場会社に、求められる、独立社外取締役の員数や、選任しない場合の理由説明などが求められています。コーポレート・ガバナンス・コードについては、近いうちに改訂が予定されていますので、情報の更新に留意ください。

 

4 業務執行を行う場合の例外

前記のとおり、社外取締役は、業務執行を行わないことがその要件の一つでしたが、今般の会社法改正によって、株式会社が社外取締役を置いている場合において、当該株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、取締役会の決議(都度必要です)により、当該株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができることになりました(改正会社法348条の2)。

業務執行の委託によって社外取締役の要件が失われることになりますが、例えば、いわゆるマネジメント・バイアウトや、親子会社間取引においては、経営陣から独立した社外取締役に業務執行が期待される場合もあり、このような場面で業務執行を行ったとしても、社外取締役の要件を失わないことが明記されることとなりました。

 

5 最後に

社外取締役設置の義務化、必要性は年々増していると言えます。しかし、単に設置すれば良いというものではなく、実効性が求められています。その実効性とは、少数株主を含む全ての株主共通の利益を代弁できる立場性であり、また、経営陣・業務執行者から独立した第三者的立場で、経営監督ができるという意味での実効性と言えます。

202011月公布の改正会社法施行規則では、取締役選任議案を株主総会に提出する際、社外取締役候補者について「選任された場合に果たすことが期待される役割の概要」を株主総会参考書類で開示することが求めていますので、各社におかれましては、義務としての設置はもちろん、何のために設置するのかということをご検討のうえ、導入を進めていただきたいと思います。

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谷川安德

谷川安德

大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。
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