契約書をめぐるトラブルと回避のためのチェックポイント
Contents
1 契約と契約書の違い
ここまではよく知られている
→口頭でも契約は成立する。
よって
→契約が成立するかどうか、という点では、契約書を作っても作らなくても、違いはない。
*保証契約は書面による合意が必要です。
一部契約につき、一定の書面化が必要な例外はあります。
では、契約書がないとなぜいけないのか
①言った言わない・・・
②社長や担当者が交代したら言うことが変わった・・・
③突然取引を中止すると言われた・・・
④商談の時は聞き逃していた内容けれど・・・
⑤裁判で訴えることになった。契約の内容を証明するには?
⑥法律と契約とで違う取り決めをしていたら?
⑦口頭でどこまで細かく決められる?
⑧もともと当社の著作権だし、書面にしなくてもとられるはずがない。
→ ここにすでに10事例以上のトラブルが
◆相手方が約束を守ってくれない。裁判しかない。
裁判は、訴える側がまずは主張し、証明しないといけない。
→①②③④⑤⑥⑦⑧
◆本当に貴社に有利な契約ですか?その契約本当に結びますか?
◆契約で初めて法律より有利になる内容を意識していますか?
→⑥(不利な場合はより怖い)
2 知らなかったでは済まない契約用語
□ 「以上」と「超える」の違いが分かる。
□ 「覚書」と「契約書」は同じか違うかが分かる。
□ 「善意」「無過失」「悪意」「重過失」を説明できる
□ 「1月15日から5か月間」とする契約の満了日は?
□ 「解除」「解約」「合意解除」「合意解約」の違いが分かる
□ 「署名」「記名」「記名押印」の違いが分かる
□ 契約を解除ができる場合としてよく「差押」「仮差押」が書かれているが、「差押」と「仮差押」の違いが分かる。
□ 「管轄裁判所」の意味も「合意管轄裁判所」の意味も「専属的管轄裁判所」の意味も分かる。
3 ここだけは譲れない!条文チェックのポイント
◆代金の確保と所有権の移転
A「本商品は、代金完済時に甲から乙に移転する。」
B「本商品は、本商品の引き渡し時に甲から乙に移転する。」
→法律では明確ではない。
買う側ならB。でももちろん売る側ならA
◆移転する権利を明確に
A「本契約に基づく成果物に関する一切の権利は、本契約成立前に甲が有していた権利も含めて、甲から乙に移転する。」
B「甲と乙は、本契約に基づく成果物に関する権利に関し、本契約成立前に甲が有していた権利については、甲に留保されることを確認する。」
→Aはあわや甲が持っていた著作権まで乙に・・・
◆受注発注の仕方は明確に!
A「甲が乙に対し、本商品を発注する場合には、甲の定める注文書に商品の数量、単価を記載し、乙に書面を郵送、FAX又はEメールによって送付する方法によって行う。この場合、乙が当該発注書面を受領後2営業日以内に諾否の返答をしないときは、本商品の個別契約が成立したものと看做す。」
B「甲が乙に対し、本商品を発注する場合には、甲の定める注文書に商品の数量、単価を記載し、乙に書面を郵送、FAX又はEメールによって送付する方法によって行う。この場合、乙が当該個別契約を受注する旨の乙所定の書面を甲に返送(方法は前同様とする)した時に、当該個別契約は成立するものとする」
→Aの場合、受注する乙側からすると、いつのまにか契約が成立していることも
◆瑕疵担保責任の期間・範囲・権利保全の手続等は?
前提知識として。
商人間の売買において、買主が売買の目的物を受領したときは、①遅滞なく検査をしなければならない(商法第526条1項)。
そして、この検査により、瑕疵があることまたはその数量に不足があることを発見したときは、②直ちに、売主に対し、その旨を通知しなければならない。
買主がこの検査・通知を怠ると、売主に対し、③瑕疵があることを理由とした契約の解除や損害賠償請求、代金減額請求をすることができなくなる(同条2項前段)。
但し、その瑕疵が直ちに発見することができない性質のものである場合には、④買主が目的物の受領後6ヶ月以内に発見して直ちに通知すれば、これら契約解除権や損害賠償請求権等を失うことはない(同条項後段)。
「直ちに発見することができない瑕疵」とは、その業種の商人が通常用いる合理的な方法で、かつ合理的注意を尽くしても発見できなかった瑕疵をいう。
◆瑕疵担保責任の期間・範囲・権利保全の手続等は?
A「乙が甲から本商品の引き渡しを受けたときは、引き渡し後2日以内に、本商品の数量不足、破損その他の瑕疵の有無を検品のうえ、引き渡し後4日以内に、甲にその結果を通知しなければならない。この場合において当該通知がなかった場合には、乙は、甲に対し、代金の減額、目的物の交換、解除、その他本商品に瑕疵があることを理由とする請求等は名目の如何を問わず行えないものとする。」
「前項は、外観上確認できない隠れたる瑕疵がある場合には適用せず、外観上確認できない隠れたる瑕疵がある場合については、乙は甲に対し、本商品受領後2か月以内に限り、代金の減額または目的物の交換を請求できるものとする。この場合においても、当該契約の解除は出来ないものとする」
→要するに、「引き渡し後2日以内に」「引き渡し後4日以内に」「外観上確認できない隠れたる瑕疵がある場合については、乙は甲に対し、本商品受領後2か月以内に限り」が甲(売主)側に有利になっている。
◆損害賠償額は証明が難しい
A「乙が本契約に違反した場合には、甲は乙に対し、本契約に基づき売り渡す予定の本商品の累計額の2倍相当額を損害と看做し、他に立証を要することなく損害賠償請求を行うことができるもの
とする。」
B「乙が本契約に違反した場合には、乙は甲に生じた一切の損害を賠償する義務を負う。」
→一見、Bが良さそうだがどこまで損害を証明できる???
◆弁護士費用は当然相手方負担ではない
A「乙が本契約に違反した場合には、乙は甲に生じた一切の損害を賠償する義務を負う。」
B「乙が本契約に違反した場合には、乙は甲に生じた一切の損害を賠償する義務を負い、この場合、甲が当該紛争解決に要した弁護士費用その他の専門家費用については、全て乙の負担とする。
→Bを入れておかないと弁護士費用は当然相手方負担ではない。
グロース法律事務所によくご相談をいただく内容
・契約書の作成やチェックをしたい
・多数の契約書について契約審査をお願いしたい。アウトソーシングしたい
・AI契約書レビューサービスを使用しているがそのアウトプットに対してこのまま進めて良いかの最終判断に困り相談したい
・AI契約書レビューサービスに対応していない特殊な規約、難度の高い契約書を確認してほしい
契約書に関するグロース法律事務所の提供サービスのご紹介と費用
〇契約書に関する相談
無料(ご来所いただける方に限ります。遠方や新型コロナウイルスの影響でどうしてもご来所いただけない事情がある方についてはオンラインで無料相談を承りますので遠慮はなくご相談下さい)
〇契約書フォーマット
こちらから無料でダウンロードいただけます
〇作成
定型
費用の目安 業務内容の説明 顧問先様以外の対応の可否
5万5000円から11万円 当事務所で取扱い、ある程度書式化されている契約につき、貴社の取引内容に合わせた契約書を作成します。
非定型
費用の目安 業務内容の説明 顧問先様以外の対応の可否
11万円から22万円 汎用性のない、特殊な契約の契約書を作成します。
〇チェック
内容確認と解説のみ
費用の目安 業務内容の説明 顧問先様以外の対応の可否
1回1万5000円 契約書の有利不利の確認と解説をします。
修正案付き
費用の目安 業務内容の説明 顧問先様以外の対応の可否
1回3万3000円~。契約締結までのサポートの場合は、締結までの修正及び確認につき、5万5000円~ 確認結果について修正案を提示します。
タイムチャージは4万1800円
顧問先様は別途割引があります。
詳細は以下をご覧ください。
グロース法律事務所への問い合わせ
お電話(06-4708-6202)もしくはお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
お電話の受付時間は平日9:30~17:30です。また、お問い合わせフォームの受付は24時間受け付けております。初回の法律相談については、ご来所いただける方に限り無料でご相談させていただいております。
※遠方の方はオンライン会議での初回面談も承りますので、お申し付けください。また、新型コロナウイルス感染症の影響でどうしても来所ができないという方につきましても、オンライン会議で初回無料で面談を承りますので、お申し付けください。

谷川安德

最新記事 by 谷川安德 (全て見る)
「契約書をめぐるトラブルと回避のためのチェックポイント」の関連記事はこちら
- 「利用規約」を契約内容とするための留意点を弁護士が解説
- WEBサイト製作業務委託契約書について
- システム開発委託契約書について
- ノウハウ使用許諾契約書について弁護士が解説
- プライバシーポリシーはなぜ必要?契約書に詳しい弁護士が解説
- フランチャイズ契約における契約審査上の留意点・チェックポイント~総論~
- フリーランス新法が成立しました ~「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」~
- ライセンス契約について
- 不動産売買契約書とは
- 事業譲渡契約書のポイント・留意点を弁護士が解説
- 入社誓約書のポイント
- 労働契約と業務委託契約の違いと留意点
- 反社会的勢力排除に関する契約書・誓約書の作り方を弁護士が解説
- 取引基本契約書について
- 売買契約書とは
- 外国人の雇用契約書
- 契約書のサンプルに潜むリスク
- 契約書のチェックプラン
- 契約書をめぐるトラブルと回避のためのチェックポイント
- 契約社員・パート社員の雇用契約書
- 建設工事請負契約締結時の注意点
- 懲戒処分ではない業務指導の履歴についてのポイント ~能力不足を例に~
- 新型コロナウイルスの感染拡大と債務不履行責任に関する諸問題~企業間取引~
- 新型コロナウイルスの感染拡大と債務不履行責任に関する諸問題~企業間取引の契約書~
- 新型コロナウイルス感染拡大と賃貸借契約に関する諸問題について
- 業務委託契約において注意すべき下請法 ~その1 下請法とは何か、下請法違反で契約はどうなる?
- 業務委託契約において注意すべき下請法 ~その2 下請法の規制対象となる事業者、取引内容
- 業務委託契約において注意すべき下請法 ~その3 親事業者の義務
- 業務委託契約において注意すべき下請法 ~その4 親事業者の禁止行為
- 業務委託契約書とは
- 業務提携契約書について
- 法務担当者の退職対応と突然の退職に備えた法務体制
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)対応の業務委託契約について解説
- 秘密保持契約の目的から考える!~どのような場面で、誰との間で必要か~
- 秘密保持契約書とは
- 秘密保持誓約書のポイントを弁護士が解説
- 著作権譲渡契約書
- 販売代理店契約のいろいろ ~厳密に使い分けるために知っておくべきポイント~
- 販売代理店契約を締結するに当たって理解しておくべき法知識
- 販売代理店契約書とは その①
- 販売代理店契約書とは その②
- 販売代理店契約書ひな形解説~購入販売型編~
- 賃貸借契約書とは①
- 賃貸借契約書とは②(原状回復義務)
- 金銭消費貸借書
- 雇用契約書
- 雇用契約書・労働条件通知書のポイント
- 顧問契約書/コンサルタント契約書
- 契約書の作成
グロース法律事務所が
取り扱っている業務
新着情報
- 2023.08.30お知らせ
- 「税理士×弁護士」インボイス制度と中小企業が気をつけるべき独占禁止法・下請法ポイント解説セミナー 2023.11.16
- 2023.07.23お知らせ
- 【実施済み】従業員との合意書・誓約書と就業規則の最低基準効セミナー 2023.09.14
- 2023.07.20お知らせ
- 【実施済み】顧客従業員の引き抜きを許さない「競業避止対策」セミナー 2023.08.23
- 2023.04.27お知らせ
- 2023.05.18開催予定セミナー・会議室変更のお知らせ
- 2023.04.24お知らせ
- 【実施済み】退職トラブルを回避するために 必要な労務管理~顧客対応時の重要チェックポイント~ 2023.06.15