問題社員への対応のポイント ~企業経営者が身についておくべき基本方針~

1 問題社員とは?基本的な対応方法について

一口に「問題社員」といっても、

◇無断欠勤、遅刻等の勤怠不良

◇協調性の欠如、企業秩序不遵守

◇能力不足

◇経歴詐称

◇セクハラ、パワハラ等

◇私生活上の素行不良

◇会社への加害(横領、背任、窃盗等)

等々様々です。

就業規則の懲戒事由に照らしても、懲戒事由にダイレクトに該当する内容もあれば、必ずしもそうでないもの、また懲戒事由にあたるとしても違反程度が質的に低いものから大きいものまで様々です。

ただ、ここに共通していえることは、当該問題社員によって、企業に様々な影響を及ぼすことがあるということです。特に、他の従業員の士気の低下、離職などは会社経営者が多く抱える問題です。

問題社員の対応については、基本的には以下のような方針を検討することとなります。

 ① 注意指導

 ② 人事異動・配置転換

 ③ 懲戒処分(解雇以外)

 ④ 退職勧奨による自主退職、合意退職

 ⑤ (普通・懲戒)解雇

弊所でのご相談において、解雇を通知したが、弁護士を通じて解雇無効を主張してきたので、どのように対応したら良いかというご相談は比較的多いと言えます。

しかし、裁判実務において、上記①から③のような段階を踏まず、いきなり解雇をした事案で解雇が認められるケースは極めて限られています(刑事告訴が受理されるような多額の横領事案や、性犯罪等)。

それぞれの類型毎にその対応方針をしっかりと把握し、段階を踏まえて慎重に対応していくことが必要です。

 

2 注意指導や軽い懲戒処分からの対応が求められる類型

問題社員類型のうち、勤怠不良、能力不足、協調性の欠如、勤務態度不良者への対応は、基本的に注意処分の積み重ね、軽い懲戒処分である戒告からの積み上げといった段階がなければ、解雇まで認められるケースは極めて少ないと言えます。

これは、一つには終身雇用型の雇用システムにも関係していますが、特に新卒社員の場合、使用者側が当初求めていた能力などに不足することがあっても、その不足は解雇ではなく、まずもって指導教育によって改善すべきで、それを繰り返してもなお労働契約上本来提供されるべき労務が提供されないというような場合に、最終手段たる解雇が認められるべきだ、という考えによります。

その点では、ヘッドハンティングの事案などでは、高度の能力を有することが高額給与と対価関係にあることが当事者間でも社会通念上も明確ですので、能力不足による解雇は新卒社員の場合と比べれば、認められることが多いと言えます。

ところで、注意指導については、これを口頭で行っている場合には、後日、いついつどのような指導をどういう理由によって行ったか、それに対して、どのような改善がみられ、またみられなかったか、という証明が困難となります。

その結果、解雇に向けて、その時点から新たに記録を残すための注意指導を行う必要があったり、というケースも存します。

したがって、注意指導を行う場合には、書面、またはメール等記録が残る形で行っておく必要があります。

また、注意指導については、現在従業員がどのような状態にあり、何が足りていないのかを明確にしたうえ、その足りていない部分の改善を具体的に指摘することが必要で、改善の有無の判断、次の指導等の要否を考えるうえでも相当期間を設定し、注意指導を行うことが良いと考えられます。

注意指導書のひな形については、お問い合わせページより、弊所に直接お問い合わせ下さい。

The following two tabs change content below.
谷川安德

谷川安德

大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。
谷川安德

最新記事 by 谷川安德 (全て見る)

現在、初回のご相談は、ご来所いただける方に限り無料とさせていただいております現在、初回のご相談は、ご来所いただける方に限り無料とさせていただいております
  • サービスのご紹介
  • 二つの理由
  • 顧問契約活用事例
  • 顧問先の声

グロース法律事務所が
取り扱っている業務

新着情報

 TOP