新型コロナウィルス感染症対策にかかる雇用調整助成金について

新型コロナウィルス感染症の影響により、企業活動の縮小が余儀なくされているなか、様々な助成金の特例措置が発表されております。本稿では、新型コロナウィルス感染症により影響を受けた事業主に対し、休業手当等の一部を助成する「雇用調整助成金」についてご紹介いたします(令和2年5月24日時点)。

雇用調整助成金は、申し込みを行わなければ受けることができませんので、要件に該当する場合は、積極的に雇用調整助成金を利用し、労働者の雇用の維持をはかってください。

1 雇用調整助成金とは

雇用調整助成金の制度は、新型コロナウィルス感染拡大前から存在するものであり、景気の後退等経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労働者に対し一時的に休業等を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当等の一部を助成するものです。

現在、新型コロナウィルス感染拡大により、事業活動を縮小せざるを得ない事業主が増えていることから、特例措置として、雇用調整助成金を受けることのできる要件などが緩和されています。この特例措置については当初発表時から要件や申請方法について拡充されておりますので、当初の要件や申請方法によってあきらめていた事業主も再度チェックすることが重要です。

2 助成内容について

事業主が支払うべき休業手当等の4/5(大企業の場合は2/3)に相当する金額が助成されます。なお、労働者について一人も解雇を行わなかった場合は、9/10(大企業の場合は3/4)に相当する金額が助成されます。
  
なお、助成内容については中小企業について解雇等を行わず雇用を維持している場合には、
  
①賃金の60%を超えて休業手当を支給する場合60%を超える部分に係る助成率を特例的に10/10とすること(60%部分については支給率が9/10であることに注意)
  
②新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき都道府県対策本部長が行う要請により、休業又は営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する 事業主であって、これに協力して休業等を行い、労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っているか助成上限額である8330円以上の休業手当を支払っている場合は休業手当全体の助成率を特例的に10/10にする
  
ということが厚生労働省から発表されています。
  
ただし、助成額については、対象の労働者一人当たり一日の上限が8330円までと定められています。

3 主な助成要件

コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大は現在のところ、緊急対応期間として令和2年4月1日から6月30日までとされており、休業等の初日が1月24日以降のものに遡って適用されます(ただし下記(2)の生産指標要件の対象期間が3ヶ月から1ヶ月に短縮されていることについては4月1日から6月30日までの休業等に適用されます)。

(1) 対象事業主

通常の雇用調整助成金は経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が対象ですが、新型コロナウィルス感染症にかかる特例措置は「新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主」であり、全業種が対象となります。
  

(2) 生産指標要件

通常時であれば、生産指標(売上高等)について、休業届出前の3ヶ月間について同時期の前年比から10%以上の低下が必要ですが、特例措置においては、休業届出前の1か月について前年比5%以上の低下と緩和されています。

なお、事業所1年未満のため前年に比較できる月がない場合は、令和元年12月と比較して5%以上低下していることで足ります。

(3) 対象労働者

通常時であれば、雇用調整助成金の対象者となる労働者は①雇用保険被保険者かつ②継続して6ヶ月以上雇用されていることが必要ですが、特例措置において①雇用保険被保険者でない労働者の休業も対象となり、また、②6ヶ月未満の労働者を休業させた分についても助成対象とされています。

(4) 計画届

休業期間等の計画について通常時は事前に提出する必要がありますが、特例措置においては、6月30日までの事後提出が認められるとされていましたが、申請手続きの簡略化のため、休業等計画届の提出は不要となりました(5月19日)。

なお、助成金の対象となる休業等については、事前に労使間で休業等に関する協定を結ぶことが必要です。

(5) クーリング期間について

通常時であれば、過去に雇用調整助成金を受給していた事業主は前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していない場合は助成対象となりませんが、特例措置においては満了日から1年を経過していない場合においても助成対象とされています。

(6) 休業について

雇用調整助成金対象の「休業」とは所定労働日に労働者を休ませることを指し、事業所が営業を休むことを指すものではありません。また、全員を休業させる必要はなく、一部の労働者を休業させる場合も助成対象となります。

従って、事業所を閉鎖せず事業活動を縮小し、労働者の半数のみを休業させた場合についても、当該休業させた労働者の休業手当等は助成対象になります。

(7) 小規模事業主の申請手続きの簡略化

小規模事業主(従業員が概ね20人以下の会社や個人事業主)については、支給申請手続きの簡略化が進められました。助成額について従前は従業員一人当たりの平均賃金額を用いて計算されていましたが、小規模事業主については実際に支払った休業手当額に助成率を掛けて簡易に助成額を算定できるようになりました。
  
また、申請に必要な書類も簡素化されています。詳細は以下のURLをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html

オンライン申請

雇用調整助成金についてはオンライン申請が開始されましたが、現在(5月24日)システム不具合のため稼働が延期されています。

4 最後に

「従業員を守り、企業を守る」という視点は、企業が持続的に発展する土壌になるものと私たちは考えています。こうした緊急事態だからこそ、労働者を休業させる必要性に迫られても、雇用を継続し、労働者が安心できる体制を整えていくことが望ましいと考えます。

雇用調整助成金は、申請しなければ助成を受けることはできません。従業員の休業の必要性に迫られている場合は、ぜひご検討ください。当事務所でもご相談を承っております。

また、その他の新型コロナウイルス対策に関する労務問題についても、無料で相談対応していますので、遠慮無くお問い合わせください。
  
※5月24日に記事を更新いたしました。

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