介護施設における実地指導・検査、監査への対応
介護事業所には行政からの指導として実地指導、実地検査、監査が実施されることがあります。都道府県及び市町村ごとに運用が異なることはありますが、一般的な流れについて違いはありません。いずれにしても介護事業所としてはこれらの行政の指導や検査について誠実に応じる必要があります。
Contents
実地指導
実地指導とは、都道府県及び市町村の担当者が各事業所について、適切な事業所運営を行っているか、また介護報酬について適切な運営がなされているかについて指導するものです。
高齢者虐待防止や利用者の支援に向けた適切な介護サービスの質の確保・向上に関する指導である「運営指導」と介護保険制度に基づく報酬基準に基づいた加算等の実施体制の確保を指導し、不正請求の防止を目的とした「報酬請求指導」があります。
この実地指導については、不正の端緒や通報等がない場合にも実施されるものですので、実地指導の通知がなされた場合も慌てることなく対応しましょう。
ただし、この実指導において、指導項目に著しく不適切な点が発見された場合は、次の監査に移行することになります。
実地指導において、事業所に不十分・不適切な点が認められる場合は、行政から実地指導に基づく改善勧告がなされます。この事業所は当該改善勧告に基づき指摘された点を改善し、改善報告書を提出する必要があります。この提出の際に虚偽の報告等を行うと指定取り消しなどの重い行政処分を課される可能性がありますので、誠実に対応する必要があります。
実地検査・監査
虐待や報酬の不正受給・運営基準違反などに関する苦情・通報等により、都道府県及び市町村がこれらに該当する情報を得た場合は、一般的な指導である実地指導ではなく、当該違反に関する実地検査・監査が実施されます。また、実地指導を実施する過程で著しく不適切な点や違法な点が発見された場合も実地検査・監査に移行します。
これら実地検査・監査を経て違法状態や不正行為が認められた場合は、その程度によって改善勧告、改善命令、指定取り消しなどの行政処分が行われることになります。指定取り消し処分については、通常の介護事業者として運営に関する基準や法律の基準に則っていれば行われることのない処分です。
知らない間にこれらの基準に違反することのないように、普段から運営基準などの監査項目について定期的にチェックすることも必要でしょう。
介護事業所としては、普段から順守すべき法規及び基準などをアップデートし、また法規及び基準を守るべく介護事業所内のルールを策定し、周知する必要があります。また、実地指導が行われた場合には誠実に対応し、必要とされる書類等について不備なく準備できる制度を構築しておく必要があります。
指定取り消し処分が課された場合には、行政処分に対する取消訴訟等によって争うことは可能ですが、取消訴訟自体のハードルも高く、またイメージの悪化も避けられないため、指定取り消し処分を下されないようにすることが重要です。そのためにも、普段から法令順守の制度を事業所内で構築しておくことが求められるでしょう。
グロース法律事務所によくご相談をいただく内容
・利用者さんとのトラブル(クレーム・暴言・暴力・ハラスメント)についてどのように対処すればよいかアドバイスが欲しい
・介護事故が発生したことからその対応(初動対応・証拠の確保・本人家族対応)についてアドバイスが欲しい
・行政対応(実地検査・監査・聴聞)についてアドバイスが欲しい
介護分野に関するグロース法律事務所の提供サービスのご紹介と費用
〇利用者・家族対応
5万5000円~
利用者やご家族との紛争対応についてアドバイスいたします。
〇利用者・家族との交渉
11万円~
利用者やご家族との紛争について、弁護士が窓口となり交渉いたします。
〇介護事故対応に対するアドバイス
5万5000円~。代理人として実施する場合は11万円~
介護事故発生後、紛争に至った場合の賠償交渉については保険会社代理人の対応となることが多いですが、紛争に至る前の交渉・初動対応・証拠の確保などについてアドバイスいたします。代理人として交渉等を行うことも可能です。
〇介護事故予防体制の構築
22万円~
介護現場での事故例や対処例などを基に、各介護事業所に応じた事故予防体制の構築をアドバイス・実施いたします。
研修教育・介護事故マニュアルの作成、運用方法のアドバイスなどを実施いたします。
〇行政対応
11万円~。代理人として実施する場合は22万円~
行政への対応が必要となった場合にアドバイスを行います。代理人として立会いや交渉等を行うことも可能です。
グロース法律事務所への問い合わせ
お電話(06-4708-6202)もしくはお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
お電話の受付時間は平日9:30~17:30です。また、お問い合わせフォームの受付は24時間受け付けております。初回の法律相談については、ご来所いただける方に限り無料でご相談させていただいております。
※遠方の方はオンライン会議での初回面談も承りますので、お申し付けください。また、新型コロナウイルス感染症の影響でどうしても来所ができないという方につきましても、オンライン会議で初回無料で面談を承りますので、お申し付けください。

徳田 聖也

最新記事 by 徳田 聖也 (全て見る)
- 事業承継勉強会 第6回 2021.12.14 - 2021年12月20日
- 事業承継勉強会 第3回 2021.3.18 - 2021年3月19日
- 事業承継勉強会 第1回 2020.12.22 - 2020年12月30日
「介護施設における実地指導・検査、監査への対応」の関連記事はこちら
- 介護事故における法的な責任
- 介護事故への事前対応・事後対策
- 介護事業所における利用者間トラブル
- 介護事業所における契約トラブル
- 介護事業所の個人情報の取り扱いについて
- 介護事業者指定取消処分における聴聞手続対応について
- 介護拒否への対応【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 介護施設における利用者からの暴言・暴力
- 介護施設における労務トラブル(休憩・休日について)
- 介護施設における労務トラブル(労働時間の適正な把握)
- 介護施設における労務トラブル(労働条件の明示について)
- 介護施設における労務トラブル(問題社員対応)
- 介護施設における労務トラブル(就業規則)
- 介護施設における労務トラブル(有期労働契約締結の無期転換権)
- 介護施設における労務トラブル(有期労働契約締結時における注意点)
- 介護施設における労務トラブル(服務規律)
- 介護施設における労務トラブル(訪問介護労働者について)
- 介護施設における労務トラブル(賃金について)
- 介護施設における実地指導・検査、監査への対応
- 介護施設における身体拘束
- 保育所におけるSNS(写真)トラブル対策
- 保育所の騒音トラブル
- 入浴事故編【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 利用者・近隣等からのクレーム対応体制の構築
- 利用者からのハラスメント(暴言暴力)対処マニュアル
- 利用者の残置物の処分について
- 徘徊事故編【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 施設からの利用契約解除について(裁判例を基に)
- 有料老人ホームにおける表示について(景品表示法上の指定告示)
- 褥瘡管理編(請求棄却)【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 褥瘡管理編【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 誤嚥事故編(請求棄却)【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 誤嚥事故編【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 転倒事故編【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 転倒事故編1(請求棄却)【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 転倒事故編2(請求棄却)【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 転倒事故編3(請求棄却)【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 転落事故編【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】
- 高齢者虐待防止法における施設の義務
グロース法律事務所が
取り扱っている業務
新着情報
- 2023.08.30お知らせ
- 「税理士×弁護士」インボイス制度と中小企業が気をつけるべき独占禁止法・下請法ポイント解説セミナー 2023.11.16
- 2023.07.23お知らせ
- 【実施済み】従業員との合意書・誓約書と就業規則の最低基準効セミナー 2023.09.14
- 2023.07.20お知らせ
- 【実施済み】顧客従業員の引き抜きを許さない「競業避止対策」セミナー 2023.08.23
- 2023.04.27お知らせ
- 2023.05.18開催予定セミナー・会議室変更のお知らせ
- 2023.04.24お知らせ
- 【実施済み】退職トラブルを回避するために 必要な労務管理~顧客対応時の重要チェックポイント~ 2023.06.15