パワーハラスメントにより休職に追い込まれたと主張する従業員への対応についての相談事例
(相談)
相談会社の従業員Yによるパワーハラスメントが原因でうつ病に罹患したとするXから、1か月の休職、療養を要する旨の診断書を提出され、また、パワハラ調査を求める旨の訴えをされているとのことで、その対応方法につき、相談がありました。
(対応)
まず、休職については、会社としては私傷病休職であることを前提に、就業規則に基づき休職命令を発令するよう伝え、休職命令を発令してもらいました。
また、パワハラ調査については、速やかに実施し、調査結果を報告すべきことを伝えました。関係者のヒアリングの結果、認識の相違などがあり、認定が難しい案件でもあったため、事実認定も含めた調査報告書の作成を受託することとなりました。
結論として、パワハラの認定には至らなかったことから、その結果をXに通知してもらいました。
また、休職満了時点において、治癒した旨の主張もなかったことから、就業規則に基づき自然退職となった旨の通知を行ないました。
本件は特にその後の紛争が生じることなく終了となりましたが、初動や就業規則に基づきとり得る対応など、適時に必要な対応を行ったことが紛争の拡大につながらなかった要因の一つかと考えます。
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谷川安德
谷川安德
大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。
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