介護施設における労務トラブル(有期労働契約締結時における注意点)

介護事業所における労務管理について、労働法規を遵守しなければならないことは法律上の義務ですが、介護業界でより良い人材を確保し、介護サービスの質を上昇させるためにも、これらの労働法の規定を遵守し、より働きやすい職場環境を醸成することは必須となります。有期労働契約が多い介護の現場では有期労働契約における労働法規を把握しておくことが重要です。

本稿では有期労働契約の締結時における注意点について解説いたします。

 

労働契約締結時に書面により明示すべき労働条件

有期労働契約か期間の定めのない労働契約かにかかわらず、

・労働契約の期間に関する事項

・期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

・就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇などに関する事項

・賃金に関する事項

・退職に関する事項(解雇事由を含む)

については、労働契約締結時に、労働者に書面によって明示する必要があります。

このうち、有期労働契約締結時において注意すべき事項として労働契約を更新する場合の基準に関する事項が挙げられます。この点について厚生労働省による告示(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚労省告示357号))がありますので、有期労働契約締結時には少なくとも同告知の基準を満たすものを提示する必要があります。

 

明示事項について

有期契約締結時に明示すべき更新に関する事項は以下の2つの点について行わなければなりません。上述のとおり書面により明示することが必要です。

  •  更新の有無の明示

まずは、更新自体があるのかないのかという点です。具体例として

・期間満了時に自動的に更新する

・更新する場合がありうる

・契約の更新はしない

などが考えられます。

  •  判断の基準の明示

契約の更新がないとされる場合を除いて、労働契約更新の判断に関する基準の明示を行わなければなりません。当然、実際の契約更新時に関しては明示した内容に基づく判断が必要です。具体例として

・契約期間満了時の業務量により判断する

・労働者の勤務成績、態度により判断する

・労働者の能力により判断する

・会社(法人)の経営状況により判断する

・従事している業務の進捗状況により判断する。

以上はあくまでも例ですので、特定の臨時的な業務のために有期雇用等を行う場合などは、より具体的に記載し、当該労働者に説明をておくことで、契約を更新しない場合のトラブルを防ぐことができます。

 

 グロース法律事務所がお手伝いできること

有期労働契約締結時に、更新事由(更新の有無及び更新条件)についてあいまいであった場合、事業所と労働者の間で更新事由に関する認識の差が生じていることが多く、退職トラブルに発展する可能性が高くなります。

退職トラブルは事業所にとっても、また労働者にとっても後ろ向きな問題であり、事業運営に悪い影響を及ぼすことが少なくありません。

グロース法律事務所では使用者専門の法律事務所として介護事業所における労務問題を取扱っております。労務問題でお悩みの介護事業所様はお気軽にご連絡ください。

 

グロース法律事務所によくご相談をいただく内容

・利用者さんとのトラブル(クレーム・暴言・暴力・ハラスメント)についてどのように対処すればよいかアドバイスが欲しい

・介護事故が発生したことからその対応(初動対応・証拠の確保・本人家族対応)についてアドバイスが欲しい

・行政対応(実地検査・監査・聴聞)についてアドバイスが欲しい

介護分野に関するグロース法律事務所の提供サービスのご紹介と費用

〇利用者・家族対応

5万5000円~

利用者やご家族との紛争対応についてアドバイスいたします。

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利用者やご家族との紛争について、弁護士が窓口となり交渉いたします。

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介護事故発生後、紛争に至った場合の賠償交渉については保険会社代理人の対応となることが多いですが、紛争に至る前の交渉・初動対応・証拠の確保などについてアドバイスいたします。代理人として交渉等を行うことも可能です。

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介護現場での事故例や対処例などを基に、各介護事業所に応じた事故予防体制の構築をアドバイス・実施いたします。

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。
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