破産を行うと従業員はどうなる?弁護士が解説

 

1 はじめに

破産申立を行い、破産手続が終結すると会社の法人格は消滅します。従って会社と従業員の間の雇用契約も当然に終了します。しかし、破産申立てを行う時点では、会社の事業は停止しており、破産開始手続申立後も従業員を雇用し続けると事業を行っていないにもかかわらず、賃金が発生してしまうことになり、会社の財産を逸失させてしまうことになります。

 

従って、会社が破産開始手続きを申立てる場合には、事前に従業員を解雇する必要があります。

 

ただし、破産開始手続申立て後も残務処理等で一部の従業員に働いてもらう必要がある場合は、当該従業員については破産開始手続申立て後も必要な期間に限り雇用契約を継続し、賃金を支払うこともあり得ます。

 

2 解雇従業員の給与支払いについて

会社の破産に伴う従業員の解雇についても、通常の解雇と同様に30日前の解雇予告を行うか解雇予告手当の支払いが必要です(労働基準法第20条1項)。よって、会社が破産を行う場合で解雇予告を行っていない場合は、通常の賃金に加え解雇予告手当分の賃金支払が必要になります。

 

また、解雇を行う労働者について退職金が発生する場合は、当然退職金も支払わなければなりません。

 

従って、会社が破産を検討するにあたっては、これらの賃金・解雇予告手当・退職金が支払えるかということも念頭に置く必要があります。

 

3 未払賃金立替制度

上記のとおり会社が破産を行う場合も賃金・解雇予告手当・退職金を支払う必要がありますが、実際に会社が破産を申立てるにあたっては、会社にキャッシュが残っておらずこれら賃金等を支払えないこともあります。

 

これら賃金等は破産法上、財団債権または優先的破産債権として破産手続きにおいて優先的に配当がなされますが、破産手続の中で会社の財団(会社の残りの資産を換価したもの)が十分に形成されなければ、結局未払のままとなってしまいます。

 

そこで、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティネットとして、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対する「未払賃金立替制度」が独立行政法人労働者健康安全機構により実施されています。

 

なお、未払賃金立替制度を利用できるのは労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていた事業主に雇用されていた場合で、破産手続開始等の申立日(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長に対する事実上の倒産の認定申請日(事実上の倒産の場合)の6か月前の日から2年の間に当該企業を退職した方に限ります。

 

未払賃金立替制度の対象となる賃金は、退職日の6か月前の日から立替払請求の日の前日までの間に支払期日が到来している「賃金」及び「退職手当」であり、解雇予告手当は含まれません。これらの対象賃金の8割が立替払いされます(全額が立替払いされるわけではないことに注意が必要です。)。

 

未払賃金立替制度の請求は、解雇された各労働者が行います。従って、会社からあらかじめ未払賃金立替制度の存在及び請求方法について従業員に周知する必要があります。また、請求には破産管財人の証明が必要になるなど、会社が協力すべき事項も多くあります。

 

従って、破産申立てにあたって従業員への賃金未払いが発生する場合は、従業員に対し未払賃金立替制度の説明を行い、破産手続開始後も必要な手続きに協力する必要があります。

 

4 グロース法律事務所のサポート内容

会社が破産するにあたっては、従業員の解雇は必須となりますが、従業意にも解雇手続きに協力してもらう必要がある場合があり、解雇のタイミングや賃金の支払など慎重な従業員対応が求められます。

グロース法律事務所は企業法務を中心に取り扱う法律事務所として、会社の破産申立代理業務も取り扱っており、破産の具体的な事情に応じ適切な従業員対応が可能です。会社の破産を検討されている場合は早期にご相談ください。

①グロース法律事務所によくご相談をいただく内容

・資金繰りが厳しく、資金ショートする可能性が高いが、どのような手続きをとればよいかわからない。

・経営状況が厳しく、破産を考えているがどのような準備が必要かわからない

・会社の破産と共に、代表者の破産もお願いしたい

・会社の破産ではなく、事業を継続させる民事再生手続をお願いしたい

②分野に関するグロース法律事務所の提供サービスのご紹介と費用

〇法人破産(破産管財申立事件)66万円~220万円まで

原則として110万円を基準とし、資産や事業実態のない関連会社の申立については減額要素となる一方、申立前に資産を適正に換価等する必要のある破産申立案件等については増額要素となります。

(弁護士費用の他、裁判所への予納金が必要となります。大阪地裁への申立の場合、最低額が20万5000円とされていますが、債権者数や賃借物件の明渡未了の場合などの状況によって最低額も50万円・80万円と増額されます。)

〇法人破産と同時に行う代表者破産申立 22万円~

法人破産と同時に代表者個人の破産を申立ていたします。

(法人破産と同様に裁判所への予納金が必要になりますが、大阪地裁への申し合っての場合、代表者に資産がほとんど存在せず、訴訟等の必要性等が存在しない場合は、代表者個人の予納金は5000円との取扱いがなされています。)

〇民事再生(※申立てにあたり顧問契約を締結させていただきます。)

着手金 165万円~(債権者数・法人の規模等により異なります。以下同様です。)

認可決定までの月額費用 33万円~

認可決定報酬 165万円~

認可決定後の顧問料は通常の顧問プランで契約いたします。

③グロース法律事務所への問い合わせ

お電話(06-4708-6202)もしくはお問い合わせフォームよりお問い合わせください。お電話の受付時間は平日9:30~17:30です。また、お問い合わせフォームの受付は24時間受け付けております。初回の法律相談については、ご来所いただける方に限り無料でご相談させていただいております(※遠方の方はオンライン会議での初回面談も承りますので、お申し付けください。また、新型コロナウイルス感染症の影響でどうしても来所ができないという方につきましても、オンライン会議で初回無料で面談を承りますので、お申し付けください。)

The following two tabs change content below.
徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。
徳田 聖也

最新記事 by 徳田 聖也 (全て見る)

「破産を行うと従業員はどうなる?弁護士が解説」の関連記事はこちら

現在、初回のご相談は、ご来所いただける方に限り無料とさせていただいております現在、初回のご相談は、ご来所いただける方に限り無料とさせていただいております
  • サービスのご紹介
  • 二つの理由
  • 顧問契約活用事例
  • 顧問先の声

グロース法律事務所が
取り扱っている業務

新着情報

 TOP