介護施設における利用者からの暴言・暴力

介護事業所では、従業員が利用者からの暴言・暴力の対象になることも少なくありません。そのような場合に事業所としてはどのような対応が必要なのでしょうか。

 

介護施設における利用者からの暴言・暴力に関して

介護施設における利用者からの暴言・暴力について対応・対策の解説動画です。
・従業員に対する安全配慮義務
・マニュアルの作成
・身体拘束について

10分程度でまとめておりますので、記事と合わせて是非ご覧ください

従業員に対する安全配慮義務

介護事業者は従業員との間で雇用契約を締結しており、雇用契約上の安全配慮義務として、介護事業者は労働契約に基づき従業員がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をしなければなりません(労働契約法5条。安全配慮義務)。

この安全配慮義務を怠り、その結果従業員に損害が生じた場合は、事業者は雇用契約に基づく安全配慮義務違反を理由としてその損害を賠償しなければなりません。

 

具体的対策

以下には事業所として取りうる対処をいくつかあげます。

 (1) 情報共有

暴言・暴力傾向のある利用者がいる場合には、その旨を従業員間で共有しておくことが必要です。情報を共有し、従業員に暴言・暴力の可能性があることを認識してもらうことによって、当該利用者からの暴言・暴力からの被害を予防し、また被害を最小限に抑えることが可能になります。

情報共有の内容は、単に暴言・暴力傾向の有無にとどまらず、どのような場面や場合にそのような傾向が表れるのかということなどについても含めるべきです。

なお、情報共有については関与する可能性のある職員全員に行う必要がありますので、情報共有を行う際は、関与するすべての従業員が認識できるような仕組みを作らなければなりません。

 (2) 対処マニュアルの作成

暴言・暴力への対処マニュアルを事業所内で作成し、その内容を従業員全員で共有する必要があります。事業所としては、各従業員の採用時はもちろんのこと、定期的に研修などを行うことなどが考えられます。

対処マニュアルには、実際に暴言・暴力が起こりそうになった場合の対処方法のほか、凶器になりそうなものを利用者から遠ざけておくなど予防に関することや実際に暴言・暴力が発生した場合の事後的な対処(損害拡大の防止)についても記載しておくべきでしょう。

また、実際に暴言・暴力が発生した場合には、発生の経過・内容・事後対応について記録に残しておき、後に事案を検討し、対処マニュアルを充実させるようにしましょう。

 (3) 身体拘束について

暴力傾向のある利用者がいる場合でも、単にそれのみの理由だけで身体拘束を行うことは当然許されません。身体拘束が許されるのは、「他の入所者等の生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合」に限られ、すなわち、危険の「切迫性」、身体拘束以外に方法がないという「非代替性」、拘束が必要最小限にとどまる「一時性」のすべてが満たされる場合のみであり、極めて限定的な場合ですので、注意してください。

 (4) 利用契約の解除

利用者は介護事業所による支援に依存した状況である場合が多く、その点からすれば、簡単に利用者との利用契約を解除するべきではありません。一方で策を尽くしたにも関わらず、従業員や他の利用者に危害を加えてしまう恐れが高い利用者については、他者の生命・身体・財産を守るため、契約を解除しなければならない場面もあります。

そのような場合に備え、利用者との契約書には暴言・暴力があった場合に利用契約を解除できる条項を必ず入れておくようにしましょう。施設からの利用契約解除についての内容は、こちらのページをご確認ください。また、こちらのページでは、厚生労働省から、老人保健健康増進等事業として、株式会社三菱総合研究所が策定した「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」の概要と対策のポイントを説明していますので、ご覧ください。

 

下記では、介護施設における利用者からの暴言・暴力について10分程度でまとめておりますので、記事と合わせて是非ご覧ください

 

 

グロース法律事務所によくご相談をいただく内容

・利用者さんとのトラブル(クレーム・暴言・暴力・ハラスメント)についてどのように対処すればよいかアドバイスが欲しい

・介護事故が発生したことからその対応(初動対応・証拠の確保・本人家族対応)についてアドバイスが欲しい

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介護現場での事故例や対処例などを基に、各介護事業所に応じた事故予防体制の構築をアドバイス・実施いたします。

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。
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