ハラスメントの労務管理

「ハラスメント」の2類型を解説します

□ セクシュアル・ハラスメント

□ パワー・ハラスメント

「セクシュアル・ハラスメント」とは

「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就労環境が害されること

 

事業主が講じるべき義務(均等法11条。厚生労働大臣10指針)

1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

⑴ 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあって はならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に

周知・啓発すること。

⑵ セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内 容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働

者に周知・啓発すること。

 2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

⑶ 相談窓口をあらかじめ定めること。

⑷ 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。 また、広く相談に対応すること。

3 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

⑸ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。

⑹ 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。

⑺ 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。

⑻ 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)

4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置

⑼ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。

⑽ 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

 

 

「パワーハラスメント」とは

同じ職場で働く者に対して、職務上の 地位や人間関係などの職場内の優位性(1)を背景に、業務の適正な範 囲(2)を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化さ せる行為をいう。

 ※1 上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間な どの様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。

 ※2 個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不 満に感じたりする場合でも、これらが業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには当たらない。

 

「パワハラの6類型」

①暴行・傷害(身体的な攻撃) ・・・業務範囲内でもアウト

②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃) ・・・業務遂行に不要

③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し) ・・業務遂行に不要

④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)

⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)

⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

 

事業主が講ずべき具体的対応策

①  事業主の方針等の明確化、周知・啓発

ⅰ パワーハラスメントの内容・方針の明確化、周知・啓発

ⅱ 行為者への対処方針・対処内容の就業規則等への規定、周知・啓発

②  相談等に適切に対応するために必要な体制の整備

ⅰ 相談窓口の設置

ⅱ 相談窓口の担当者による適切な相談対応の確保

ⅲ 他のハラスメントと一体的に対応できる体制の整備

③  事後の迅速・適切な対応

ⅰ 事実関係の迅速・正確な確認

ⅱ 被害者に対する配慮のための対応の適正な実施

ⅲ 行為者に対する対応の適正な実施

ⅳ 再発防止に向けた対応の実施

④ ①から③までの対応と併せて行う対応

ⅰ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な対応、周知

ⅱ パワーハラスメントの相談・事実確認への協力等を理由とした不利益取扱いの禁止、周知・啓発

 

本記事はセミナーでの講演内容を編集し作成したものです。内容の詳細につきましては、事務所へ直接お問い合わせください
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谷川安德

谷川安德

谷川安德 大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。

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