介護施設における労務トラブル(労働条件の明示について)

 

 

介護事業所で働く従業員の方々に関する労働基準関係法令や雇用管理に関する規定の適用について、厚生労働省は介護事業所における雇用環境に合わせた「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」を発表しています。

本稿ではそこで紹介されている介護事業所における「労働条件の明示について」との項目について解説いたします。

 

労働条件の書面による明示

使用者は、労働契約の締結に際して、特定の労働条件を明示しなければなりません。この明示の方法については、書面によらなければなりません(労働者が希望する場合には、FAX、電子メールによることも可。)。

書面により明示しなければならない労働条件は以下のとおりです。

・労働契約の期間(期間の定めの有無・定めがある場合の期間)

・労働契約の期間の定めがある場合の更新の基準

・就業の場所・従事する業務の内容

・労働時間に関する事項(始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項)

・賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期

・退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

介護事業所では、従事すべき業務、労働日や始業・終業時間が事前に固定して定められず、月ごとの勤務表(シフト)によって定められる労働者も多く存在します。そのような労働者における「就業場所及び従事すべき業務」「労働日並びにその始業及び終業の時刻」「休憩時間」については、勤務の種類ごとにおける就業場所・従事すべき業務・労働日労働時間・休憩時間に関する考え方、適用される就業規則の関係条項名、契約締結時における勤務表を書面の交付により明示し、労働者がどのような考え方に基づいてどのような規定に服するのかを事前に明らかにしましょう。

また、有期労働者における、更新の基準に関しては、別稿介護施設における労務トラブル(有期労働契約締結時における注意点)をご参照ください。

 

その他明示すべき労働条件の内容

上記の他に、昇給に関する事項についても労働契約締結時に明示することが必要です。

また、退職手当、臨時に支払われる賃金、賞与、労働者に負担させる食費、作業用品、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁、休職に関する事項について定めている場合も明示する必要があります。

これらについては、就業規則の必要的記載事項と重なっていることから、「就業規則による」と記載されていることが多くありますが、そのような場合でも就業規則を交付するなどして労働者に把握させる必要があります。

 

明示した労働条件と実態が異なっている場合

使用者が明示した労働条件が事実と相違する場合は、労働者は即時に労働契約を解除することができます(労契法15条2項)。

また、示された労働条件が確定的な内容として明示されていた場合は、当該明示内容がそのまま労働契約の内容とされ、労働者は明示通りの請求を使用者に行うことが可能となります。

 

グロース法律事務所がお手伝いできること

労働条件の明示は、使用者と労働者の労働条件に関する紛争を未然に防ぐために定められたルールであり、これらの要件を満たしていない場合や実態と離れている場合は労務トラブルの基になり、紛争発生時には使用者にとって不利になります。従って、労働条件通知書等についても法律の要件を踏まえ、実態に合わせたものを作成、提示する必要があります。

グロース法律事務所では、労務問題における企業側専門の法律事務所として介護事業所における労務問題を取扱っております。労働条件通知書等採用に関するお問い合わせもお気軽にご相談ください。

 

グロース法律事務所によくご相談をいただく内容

・利用者さんとのトラブル(クレーム・暴言・暴力・ハラスメント)についてどのように対処すればよいかアドバイスが欲しい

・介護事故が発生したことからその対応(初動対応・証拠の確保・本人家族対応)についてアドバイスが欲しい

・行政対応(実地検査・監査・聴聞)についてアドバイスが欲しい

介護分野に関するグロース法律事務所の提供サービスのご紹介と費用

〇利用者・家族対応

5万5000円~

利用者やご家族との紛争対応についてアドバイスいたします。

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利用者やご家族との紛争について、弁護士が窓口となり交渉いたします。

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介護現場での事故例や対処例などを基に、各介護事業所に応じた事故予防体制の構築をアドバイス・実施いたします。

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。
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