破産手続における破産管財人とは?

本稿では、主に破産手続における「破産管財人」について解説致します。

1 破産管財人とは

法人破産の場合、裁判所が破産管財人を選任致します。破産管財人については、裁判所内に管財人候補者のリストがあり、破産手続の規模、難易度等に応じ、裁判所の裁量で選任されています。破産管財人は、第三者たる地位であり、破産申立をする法人代理人弁護士ではありませんし、申立代理人の推薦で選任されることもありません。

 

破産法第78条には「破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。」

 

との規定がありますが、このように破産手続が開始された場合、破産者所有の財産の管理処分はすべて破産管財人が行います。

具体的には、破産者が所有していて不動産や動産の処分、売掛金の回収や訴えの提起等は破産管財人が行い(裁判所の許可が必要となる内容はあります)、税金等の支払いも破産管財人において行っていきます。

 

また、代表者も同時に破産した場合、通常は法人について選任されるのと同一の破産管財人が選任されます。

 

破産者宛の郵便物等についても、「破産管財人は、破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。」とされており、破産手続開始後は、郵便局への転送手続によって、直接破産管財人に届くこととなります。

これによって、破産申立時の財産の漏れが破産管財人によって把握出来ることもありますし、資産隠しを試みる悪質なケースも、これによって発覚することがあります。

 

2 破産管財人の主な職務、役割等について

1)破産管財人の主な職務

〇破産者が有していた財産の換価・処分・回収

〇配当事案での破産債権の認否(破産者に対する債権の有無及び額の確定)

〇債権者に対する配当

〇裁判所・破産債権者に対する報告(基本的には2~3ヶ月に1回程度の一定期間ごとに報告集会が開催されます)

2)否認権について

破産管財人は破産者が有していた売掛金を回収したり、財産を換価したりしますが、破産手続が開始される前に処分されていた財産を取り戻すために権利行使を行うこともあります。

例えば、破産者が、破産手続開始前に他者に財産を贈与していた場合や、一部の債権者にだけに優先的に弁済をしていた場合などです。

このようなケースで破産法に定める要件を満たす場合は、破産管財人は破産財団のために否認権行使を行い、回収した財産をもって配当に充てていくこととなります。

悪質なケースは別として、担保不動産について事前に任意売却し、破産申立をするケースや事業譲渡をした後に破産申立をするケースなどは比較的多く見られるようにな りました。

不動産の評価や、事業の価値、評価を適正に行わなければ、破産管財人によって否認される可能性がありますので、債権者主導で安易にこうした処分を行わないようご留意ください。

3)免責判断について

個人破産においては、破産手続が終結しても、負債について必ずしも、支払いを免れるとは限りません。支払義務を免れるためには、裁判所の免責許可を得る必要があります。

しかしながら、破産手続を行えば必ず裁判所の免責を得られるものではなく、破産法上の一定の事由(免責不許可事由)がある場合には、免責許可を得られない場合があります。

免責判断にあたっては、破産手続において破産管財人が裁判所に意見を提出します。

免責不許可事由がある場合でも、破産手続を通じて経済的再生が期待できると認めた場合は、免責相当の意見を提出し、これを参考に裁判所が免責許可(裁量免責)を行うこともあります。

但し、特に二度目の破産においては裁量免責を得ることは相当に困難です。

また、法的に免責されない債権(非免責債権)もあり、これは裁判所の免責許可の有無の有無に拘わらず、免責されません。

 

それぞれ以下のとおりです。

 

〔免責不許可事由〕

〇債権者を害する目的で、債権者に配当すべき財産を隠匿した場合

〇債権者を害する目的で、債権者に配当すべき財産を損壊した場合

〇債権者を害する目的で、債権者に配当すべき財産を他人に贈与するなど債権者に不利益となる処分をした場合

〇債権者を害する目的で、債権者に配当すべき財産の管理を怠るなどして破産財団の価値を不当に減少させる行為をした場合〇

〇破産手続開始を遅らせる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担した場合

〇破産手続開始を遅らせる目的で、クレジットカードで購入した商品を低廉な金額で換金してしまうなど信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分した場合

〇特定の債権者に対してだけ特別な利益を与える目的またはその他の債権者を害する目的で、法的な義務もないのに、その特定の債権者に対する債務について担保を設定したり、返済をしてしまうなどの行為をした場合〇

〇収入に見合わない物品の購入や遊興などの浪費によって、著しく財産を減少させまたは過大な債務を負担した場合

〇賭博をしたことによって、著しく財産を減少させまたは過大な債務を負担した場合

〇射幸行為をしたことによって、著しく財産を減少させまたは過大な債務を負担した場合

〇破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、すでに債務の返済ができなかったり、債務の返済を停止していることを知りながら、そのような事実がないと信じさせるために嘘をつくなどして金銭を借り入れたり、信用取引をするなどした場合

〇決算書・確定申告書など業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅等した場合

〇一部の債権者だけわざと除外するなど、虚偽の債権者一覧表を裁判所に提出した場合

〇破産手続において裁判所が行う破産審尋などの調査において、説明を拒みまたは虚偽の説明をした場合

〇脅迫・暴行・欺罔行為など不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害した場合

〇過去に自己破産で免責許可決定を受けたことがあり、その過去の免責許可決定確定の日から、今回の免責許可申立ての日までに、7年が経過していない場合

〇過去に個人再生の給与所得者等再生で再生計画認可決定を受けたことがあり、その過去の再生計画認可決定の日から、今回の免責許可申立ての日までに、7年が経過していない場合

〇過去に個人再生のハードシップ免責の許可(民事再生手続(個人再生手続)において、再生計画が認可された後、債務者に責めることができない事情によって再生計画どおりに返済することが極めて困難になった場合に、返済金額の4分の3以上の返済を行っていたときは、その残りの支払義務の免除を受けることができる制度)を受けたことがあり、そのハードシップ免責許可を受けた過去の再生計画認可決定の日から、今回の免責許可申立ての日までに、7年が経過していない場合

〇債権者集会等で破産に関して必要な説明をしなかった場合

〇裁判所に財産に関する書類等を提出しなかった場合

〇裁判所または破産管財人の調査に協力しなかった場合

 

〔非免責債権〕

〇固定資産税等の税金や、国民健康保険や国民年金の保険料などの租税等の請求権

〇窃盗や強盗など悪意で加えた不法行為に基づく請求権

〇暴行をして傷害を与えた被害者に対する損害賠償義務や、重過失で交通事故を起こし、他人の生命身体に損害を与えた場合の損害賠償請求権

〇婚姻費用分担請求権や養育費支払請求権などの親族関係にかかる請求権

〇雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権

〇意図的に特定の債権者を外しているなど、破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権

〇罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料等罰金等の請求権

 

3 申立にあたって

破産の申立にあたっては、安易に債権者主導で財産処分を進めないようご留意いただき、弁護士と相談のうえ、破産手続において裁判所、破産管財人に必要かつ十分な説明が出来るよう準備を進めていただきたいと思います。

お困りの経営者様はお早めにご相談ください。

 

グロース法律事務所のサポート

①グロース法律事務所によくご相談をいただく内容

・資金繰りが厳しく、資金ショートする可能性が高いが、どのような手続きをとればよいかわからない。

・経営状況が厳しく、破産を考えているがどのような準備が必要かわからない

・会社の破産と共に、代表者の破産もお願いしたい

・会社の破産ではなく、事業を継続させる民事再生手続をお願いしたい

②分野に関するグロース法律事務所の提供サービスのご紹介と費用

〇法人破産(破産管財申立事件)66万円~220万円まで

原則として110万円を基準とし、資産や事業実態のない関連会社の申立については減額要素となる一方、申立前に資産を適正に換価等する必要のある破産申立案件等については増額要素となります。

(弁護士費用の他、裁判所への予納金が必要となります。大阪地裁への申立の場合、最低額が20万5000円とされていますが、債権者数や賃借物件の明渡未了の場合などの状況によって最低額も50万円・80万円と増額されます。)

〇法人破産と同時に行う代表者破産申立 22万円~

法人破産と同時に代表者個人の破産を申立ていたします。

(法人破産と同様に裁判所への予納金が必要になりますが、大阪地裁への申し合っての場合、代表者に資産がほとんど存在せず、訴訟等の必要性等が存在しない場合は、代表者個人の予納金は5000円との取扱いがなされています。)

〇民事再生(※申立てにあたり顧問契約を締結させていただきます。)

着手金 165万円~(債権者数・法人の規模等により異なります。以下同様です。)

認可決定までの月額費用 33万円~

認可決定報酬 165万円~

認可決定後の顧問料は通常の顧問プランで契約いたします。

③グロース法律事務所への問い合わせ

お電話(06-4708-6202)もしくはお問い合わせフォームよりお問い合わせください。お電話の受付時間は平日9:30~17:30です。また、お問い合わせフォームの受付は24時間受け付けております。初回の法律相談については、ご来所いただける方に限り無料でご相談させていただいております(※遠方の方はオンライン会議での初回面談も承りますので、お申し付けください。また、新型コロナウイルス感染症の影響でどうしても来所ができないという方につきましても、オンライン会議で初回無料で面談を承りますので、お申し付けください。)

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谷川安德

谷川安德

谷川安德 大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。

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