健康食品等における虚偽・誇大広告の消費者庁による監視
Contents
1 消費者庁によるインターネットによる監視
医薬品に該当しない健康食品に関する広告規制は、健康増進法第65条1項に「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」と規定されており、健康食品を取り扱う場合は、景表法の他、健康増進法上の広告規制にも配慮する必要があります。
また、健康食品を取り扱うにあたり、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)上の医薬品とみなされる標ぼうを行っていた場合(疾病の治療または予防を目的とする効能効果を標ぼうしている場合や、身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果を標ぼうしている場合)は、医薬品とみなされ、薬機法上の広告規制等の制限を受けます。
この健康食品の広告のうち、インターネット上における広告については、消費者庁がインターネット監視を行っており、その結果を消費者庁のHPにて公表しています。
インターネット監視とは「事業者の自主的な意思の下、健康増進法違反のおそれのある表示を修正又は削除させることにより、不適切な内容の表示を迅速かつ効率的に排除し、国民に対する正確な情報の伝達を促すことを目的として実施。」とされており、自主的な改善を促すものですが、後述のとおり、薬機法や景表法等の主管課と連携することが想定されており、これらの法違反発見の端緒(きっかけ)となりうるものです。
2 監視方法及び内容
インターネット監視の具体的な方法は、消費者庁がロボット型検索システムにより、一定期間、特定の検索ワードを用いた無作為検索を行い、検索された商品のサイトを目視により確認するというものです。
平成31年4月から令和2年12月までの間に用いられた検索ワードは主に以下のとおりです。
・「がん」「糖尿病」「認知症」「熱中症」「関節症」「風邪」「花粉症」「PMS」「インフルエンザ」「コロナウイルス」「生活習慣病」「アレルギー」などの疾病の治療又は予防を目的とする効果があるかのような表現
・「免疫力」「冷え性」「不眠」「デトックス」「腸活」「妊活」「肝機能」「食欲増進」「疲労回復」などの身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果があるかのような表現
・「ダイエット」「プエラリア・ミリフィカ」「美白」「薄毛」「肌荒れ」などの身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変える効果があるかのような表現
これらの検索ワードにより消費者庁に改善要請が出された件数は、令和元年度は278事業者で337商品、令和2年は4月から12月の期間では、205事業者で220商品と公表されています。
これらの検索は無作為に行われますので、事業規模や取扱商品数にかかわらず、監視の対象になることから、広告を行う場合は、自社は関係ない・監視の対象にならないと思うのではなく、常にチェックを行う必要があります。
3 薬機法・景表法など主管課室間の連携
上記インターネット監視は、健康増進法における虚偽・誇大広告を改善させるためのものですが、これらの食品に関連する広告については、健康増進法に加えて「食品衛生法」「薬機法」「景品表示法」などの規制にも該当する可能性があります。
消費者庁が公表している「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」において、食品衛生法・薬機法・景表法を担当する行政の主管課室が緊密な連携を確保することが必要であると明記されています。
すなわち、インターネット監視が健康増進法違反だけでなく、他の法令違反についても発見の端緒(きっかけ)になりえます。そして薬機法では罰則として懲役や罰金が設けられており、景表法においても課徴金や公表がなされることから、これらの違反に該当しないかについても、慎重な検討が求められます。
4 グロース法律事務所の広告審査
自社のホームページなどインターネット上で商品の紹介・宣伝を行う場合も含め、取扱商品やサービスについて広告を行う場合は、顧客へのアピールだけではなく、広告規制を遵守することも極めて重要です。広告に関しご不安がある場合は、ぜひ弊所までご相談ください。
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徳田 聖也
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