使用者の安全配慮義務違反による責任の範囲

 

安全配慮義務について

労働者が、業務に起因する災害によって負傷した場合、当該労働者は、労災保険制度を利用し、労災補償給付によって補償を受けることができます。

この労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。

一方、民法上は、当該労働者は、使用者に安全配慮義務違反がある場合には、民法の規定を根拠とした、損害賠償請求を行うことも可能です。

この安全配慮義務、というのは判例上認められてきた義務であり、労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)では、「使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をするものとする。」と規定され、労働契約における使用者の安全配慮義務が明文化されました。

 

このように、使用者に安全配慮義務違反が認められる、業務に起因する被災があった場合には、労働者は、労災補償給付を受けることも出来ますし、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を行うことも出来る、ということになりますが、同じ損害項目について、二重に請求出来る訳ではありません。また、労災補償給付と民事上の損害賠償義務とでは、填補される損害の範囲に異なる内容があります。

 

労災事故があった場合の被災者の損害には、様々あります。例えば、治療費、休業期間中の賃金、就労出来なくなったことによって失われる将来得られたはずの賃金、精神的苦痛を被った際の慰謝料などです。

これらのうち、労災補償給付によって填補されるのは、治療費や葬儀費等に関する療養補償給付や、介護補償給付、葬祭料給付などです。

また、休業を余儀なくされたような場合や、被災者が死亡した場合に、休業補償給付、傷害補償給付、遺族補償給付、傷害補償年金などが支払われます。

このような給付が行われた場合には、使用者はその限度で民事上の損害賠償義務も免れることとなります。

一方、生涯にわたり受け取るであろう賃金や、慰謝料については、労災補償給付は行われません。

これらについては、民法を根拠とする損害賠償請求によって、使用者に責任を追及するしかありません。使用者からしますと、労災保険の適用があるとしても、これらの損害項目については、民事上の損害賠償義務があるため、むげに交渉を拒否してしまった場合には、ある日突然訴状が届く、といったこともあり得ます。

請求内容を精査し、適切な対応が求められます。

 

グロース法律事務所によくご相談をいただく内容

・就業規則は会社設立時に作成したが、その後全く変更も行っていないことから実情と合っておらず、見直したい。

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周知方法や今後の改訂方法などについてもアドバイスを行います。

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谷川安德

谷川安德

谷川安德 大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。

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