元代表取締役である一人株主から定時株主総会の開催及び計算書類等の閲覧請求を受けた事案
(相談)
元代表取締役であり、現在は会社株主の全株を有する株主から定時株主総会の開催及び少数株主権たる会社の計算書類等の閲覧請求が行われた事案でしたが、これまで当該株主たる元代表取締役が取締役就任時にも一度も実質的な株主総会を開催されたことはなく、急な株主総会の開催に戸惑っておられ、定時株主総会開催及び計算書類の閲覧請求に応じる必要性はないのではないかとの相談でした。
(対応)
株式会社において、定時株主総会の開催は必須であり、株主総会を実質的に開催しないことは株主総会決議不存在理由となることから、現代表取締役の選任を始めとして、これまでの全ての決議事項が無効になるおそれが高いことを説明し、定時株主総会の開催準備を進めることとしました。これまで株塗総会を開催したことがないため、招集通知および実際の定時株主総会の議事進行までアドバイスいたしました。
また、計算書類等の閲覧請求についても会社法上株主に認められた権利であり、会社法で定められた拒否事由にも該当しないことから開示する必要があることを説明し、速やかに開示することで株主との無用な紛争を回避できることをアドバイスいたしました。
また、定時株主総会開催及び計算書類の閲覧に応じるにあたり、株主とコミュニケーションをとったことで、株主が総会開催及び計算書類の閲覧請求を行った意図が判明し、会社の株主の間で円満に解決することができました。また、これまでの株主総会の実質的な不開催時に行われた決議について、有効と確認する旨の決議を取ったほか、現取締役の就任などについて再度決議を行い、これまでの株主総会決議の瑕疵について可能な範囲で対応いたしました。
株式会社における株主総会の開催は極めて重要であり、また、各書類の閲覧請求などは法定されている株主の権利であり、これらに応じないことで会社に思わぬ不利益が課されることがありますので、これらについて適切な運用がなされていない場合は、直ちに見直しが必要です。
徳田 聖也
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