情報流通プラットフォーム対処法について
インターネット上の誹謗中傷投稿による被害は社会問題となっており、その被害は芸能人やインフルエンサー、スポーツ選手等の有名人にとどまらず、企業も誹謗中傷のターゲットとなり得ます。
インターネット上の誹謗中傷対策については、裁判手続として誹謗中傷投稿の削除を求める「削除請求」や誹謗中傷を行う匿名投稿者について氏名や住所等の開示を求める「発信者情報開示請求」があります(詳しくは別記事インターネット上の風評被害対策(https://growth-law.com/page-3163/)。これらはプロバイダ責任制限法に基づくものでしたが、令和6年5月17日にプロバイダ責任制限法が情報流通プラットフォーム対処法に改正されました。1年以内に施行されることが決まっています。
これまでも削除請求や発信者情報開示請求をより簡便にかつ容易にすることを目指してプロバイダ責任制限法は何度も改正されましたが、裁判手続きによることは削除請求または発信者情報開示を求める側としてハードルが高いことは否めませんでした。
そこで今回の改正では大規模なプラットフォーム(SNSや匿名掲示板)の運営事業者に対し、総務大臣への届出や削除申請窓口の整備と公表、権利侵害の調査の実施、権利侵害を調査する専門員の選任と届出、削除基準等の公表、その実施状況の公表などを義務付けています。これまでも裁判手続きによらないプラットフォーム事業者による自主的な削除や情報開示等の対応は行われてきましたが、プラットフォーム事業者への申し出先が不明確であったり、削除等を認める基準があいまいであったりして利用し難い側面がありました。今回の改正により、大規模プラットフォーム事業者自身によるより迅速かつ適切な対応が行われることが期待されています。
インターネット上の誹謗中傷について、一昔前は放置しておくことも対策の一つとされていました。しかし、放置することが適切な解決にならず、誹謗中傷の相談件数は高止まりしており、権利侵害の状況は深刻です。
会社の信頼を護るためにも必要な誹謗中傷対策は行わなければなりません。弊所では裁判上の手続きによる誹謗中傷対策の他、プラットフォーム事業者に対する削除等の申出についてもアドバイスを行っておりますので、誹謗中傷にお悩みの場合はご相談ください。
徳田 聖也
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