RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

【概要】

消費者庁は、令和6年8月8日、RIZAP株式会社(以下「RIZAP」といいます。)に対し、同社が運営する「chocoZAP」と称する店舗において供給する役務に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)又は同条第3号(ステルスマーケティング告示)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。

 

【内容】

1.優良誤認表示

ア 表示の概要

(ア) 表示媒体

a 「\\1回たった10分で//理想の白い歯へ」と称する自社ウェブサイト

b Instagramと称するSNS(以下「Instagram」という。)内のアカウントの投稿

イ 表示内容

例えば、令和6年3月28日及び同月29日に、「\\1回たった10分で//理想の白い歯へ」と称する自社ウェブサイトにおいて、「追加料金なしで 全サービスも24時間使い放題!」、「ボディメイクや美容ケアはもちろん、リラクゼーションやワーキングスペースも好きな時にご利用可能です!」等と表示するなど、ボディメイクや美容ケアなどの各サービスについて、1日24時間のうち、いつでも又は好きな時に利用できるかのように示す表示をしていた。

ウ 実際

ボディメイクや美容ケアなどの各サービスについて、利用できる最大の合計時間数限定されており、1日24時間のうち、いつでも又は好きな時に利用できるものではなかった。

 

2.ステルスマーケティング告示

ア 表示の概要

(ア) 表示媒体

chocoZAPと称する自社ウェブサイトのお客様の声との表示箇 所など

イ 表示内容(別紙2-1ないし別紙2-6)

第三者に対し、対価を提供することを条件に、Instagramに投稿を依頼したことによって当該第三者が投稿した表示をRIZAPが依頼した投稿であることを明らかにせずに抜粋するなどして、例えば、令和6年3月28日に、「セルフでも簡単!毎日をもっとキレイに!完璧つるすべ肌へ 業務用脱毛マシン採用」と称する自社ウェブサイトの「SNSでも話題!絶賛の口コミ続々」との表示箇所において、サングラスをかけた女性がセルフ脱毛の機器を使用する画像と共に、「気になっていた『chocoZAP』ついに入会しちゃった」、「なんと完全個室のセルフ脱毛が使い放題!!これにかなり惹かれた感ある」、「しかも服装自由・シューズの履き替え不要で来たままの服装でメチャクチャ気軽に通える!」、「個人の感想です。」等と表示するなどをしていたことから、RIZAPは当該表示内容の決定に関与しているものであり、当該表示は、RIZAPが供給する役務の取引について行う表示(以下「事業者の表示」という。)と認められる。

ウ 実際

前記アの表示は、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められないことから、当該表示は、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められる表示に該当するものであった。

 

3 命令の概要

ア(ア) 前記1.⑴アの表示は、前記1.⑴ウのとおりであって、本件役務の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。

(イ) 前記2.⑴アの表示は、前記2.⑴ウのとおりであって、本件役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあるものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。

イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。

ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

 

【弁護士の意見】

本件は、chocoZAPに関するWEBサイト上の表記について「優良誤認表示」と「ステルスマーケティング」であるとして措置命令が行われた事案です。

本件の「優良誤認表示」は、美容等のサービスについて24時間使い放題と明確に表記されていたにもかかわらず、実際に使用できる時間は24時間のうち5時間から16時間の間(サービスごとに利用可能時間が異なる)であったことから、明らかに24時間使い放題ではないものであり、全てのサービスが24時間使い放題であると誤認させるような表記は避けなければなりませんでした。

本件の「ステルスマーケティング」は、chocoZAP運営会社が第三者に対価を渡して、インスタグラムにchocoZAPに関する投稿(chocoZAP運営会社の意向を反映する内容)を行わせ、当該インスタグラムの投稿内容を自社ホームページに掲載していたというものです。

元のインスタグラムの投稿内容について、対価を渡して投稿内容に関与していた以上典型的なステルスマーケティング事案ということができます。自社が指示した表示(投稿内容)であるにもかかわらず、あたかも第三者の自由な意見のように見せかけることは避けなければなりません。

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。
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