ハラスメント窓口において参考とすべき事実認定の手法
https://www.asahi.com/articles/AST5W1HWBT5WPIHB002M.html
兵庫県の斎藤元彦知事に関する内部告発問題を巡り、斎藤知事の疑惑を告発した前県西播磨県民局長の男性職員の公用パソコン内にあった私的情報について、第三者委員会が県の前総務部長が議員に漏えいしたと認定するとともに、知事や前副知事の指示で行われた可能性が高いと結論付けた旨の報道がなされました。
指示の有無については、斉藤知事は指示を行ったことを否定する主張をしていますが、前総務部長の説明のほか、その場に同席していたとする県幹部の説明や片山安孝前副知事の主張に基づいて、前総務部長ら県幹部の説明の信用性を否定することはできないとした一方、これと整合しない斉藤知事の供述は採用することが困難とした旨報道されています。
本事案を離れて、各企業のハラスメント調査において、指示メールや録音といった客観的な証拠がない中において、言った言わない、というような主張の対立があるケースで事実認定を行う必要があるケースは多くあります。
本事案では、第三者の供述を踏まえて、多くの供述が一致している内容について信用性を認め、一方、これに沿わない主張は信用できない、という手法で事実認定をおこなっています。
実際の判決においても用いられる手法ですが、ハラスメント窓口の実務においても、事実認定の参考になると思います。
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谷川安德
谷川安德
大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。

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