会社貸与PC等の私的利用について弁護士が解説
公務員の事例ですが、公務員たる市の職員が、2023年3月から2025年2月までの140日にわたり、勤務時間中に公用パソコンで弟が代表を務める会社の作業をしていたとして、減給3か月の懲戒処分を行うとともに、1日数分から最長で2、3時間行っていたとして、その分の給与の返納を求めるとの報道がありました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/87967126673dbba94c0e011cc6754bc91e218aa6
企業においても、企業貸与のPC、携帯電話の勤務時間中の私的利用が問題となるケースは多くあります。
私的利用のケースでは、今回のニュースのように副業を行っているケースや、いわゆるサボタージュなどがありますが、いずれの場合でも、私的利用の時間中、労働者側の帰責事由によって、定められた業務を行っていないことから、法的には賃金支払債務は発生しません。ニュースにある給与の返納を求める点はこの点を指しているものと思われます。
また、業務時間中の副業は、少なくとも職務専念義務に違反するものですから、通常、懲戒処分の対象になる事由に該当します。
このような従業員の行為は、企業にとっては、営業秘密その他秘密情報、個人情報の漏えいにもつながりかねない重大なリスクのある行為であり、厳正に対処していくべき問題です。
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谷川安德
谷川安德
大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。

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