インターネット上の風評被害対策

1 インターネット上の風評被害対策の必要性

インターネットによる情報収集が当たり前の時代となった現在では、自社や自社が取扱う製品・サービスのPRも格段に容易になりました。しかし、一方で誰でも簡単に、かつ匿名により情報発信できることで他者に対する誹謗中傷や権利侵害などのネガティブ情報を拡散させることも容易に可能となりました。

インターネット上のネガティブ情報は、いわゆる5ちゃんねるや2ちゃんねる及びそれらのミラーサイト、雑談たぬき、爆サイ.com、まとめサイトなどの各種掲示板や、各種口コミサイト、TwitterFacebookInstagramなどのSNSや、YouTubeなどの動画サイトまであらゆる媒体にて掲載され拡散されています。

これらのインターネット上に記載されたこのようなネガティブ情報に対し、何らの措置を取ることなく放置していると、そのようなネガティブな情報はどんどん拡散し、虚偽の事実であったとしてもそれがあたかも真実であるかのような「確からしい」ものとして受け入れられてしまうことがあります。

現在は、顧客が商品やサービスを購入するにあたり検討する際や企業が新たな取引先と取引を行うにあたっては、まずインターネット検索により情報を収集することが当然のこととなっています。そのような中で、ネガティブ情報が「確からしい」ものとして残ったままでは顧客や取引先から信頼を得ることができず、企業にとって大きな損害となります。

従って、企業にとってインターネット上の風評被害対策は避けて通ることのできない事項であり、対策を講じることが必要です。

 

2 インターネット上の風評被害対策の3つの方法

インターネット上の風評被害に対応する主な3つの方法として以下のようなものがあります。

① 削除請求

ネガティブ情報を投稿した人物が特定できている場合は当該人物に直接削除依頼を行うこともできますが、通常投稿した人物が特定できている(証拠をもって確定できている)ことは少ないと思います。

そこで、削除依頼はネガティブ情報が掲載されているサイトの管理者やサーバー管理者に対して削除請求を行います。

各種サイトの中には、任意による削除依頼フォームやメールでの削除依頼に応じるものもあり、これによると迅速な対応が可能です。

しかし強制力はなく、任意ではなかなか応じてもらえないサイトが多いことも実情です。

そこで、裁判手続きによる削除請求、具体的には記事の削除を求める仮処分の申立てを行うことが考えられます。この仮処分が認められると「削除を仮に認める」という決定が裁判所からなされますが、仮処分が出された場合多くのサイト管理者は削除に応じ、問題の投稿は削除されます。

② 発信者情報開示請求

これはネガティブ情報を書き込んだ人物を特定し、責任を追及するために行うものです。民事上の損害賠償(慰謝料)請求の他、ネガティブ情報の掲載が名誉棄損罪や侮辱罪などの犯罪行為に該当する場合は被害届の提出や告訴等を行い刑事責任を追及することもあります。また、人物を特定し責任を追及することで当該人物が二度とネガティブ情報を発信しないように抑制する効果も期待できます。

発信者情報開示請求は少なくとも2段階の手続きを踏むことが必要です。ネガティブ情報の書き込みにかかわらず、一般ユーザーがインターネットに接続するためにはインターネットサービスプロバイダと契約しなければなりません。この契約の際に一般ユーザーはインターネットサービスプロバイダに対し住所や氏名などを明らかにしなければならないため、インターネットサービスプロバイダは氏名住所などの個人を特定できる情報を保有しているのです。

次に、実際に一般ユーザーがインターネット上で掲示板上にネガティブ情報を書き込む場合は、まずインターネットサービスプロバイダのサーバに接続し、次に当該掲示板を提供するプロバイダ(コンテンツプロバイダ)に接続するという手順が踏まれ、そこで初めてネガティブ情報の書き込みが行われます。

このような仕組みにおいて、ネガティブ情報を書き込んだ人物を特定するためには、まずコンテンツプロバイダに対しネガティブ情報の書き込みを行ったものの情報を開示してもらう必要があります。このコンテンツプロバイダは個人を特定する情報を有していませんので、開示を受けるのはIPアドレス等の情報となります。

そして、このIPアドレス等をもとにインターネットサービスプロバイダに氏名や住所等の開示請求を求め、ネガティブ情報の書き込みを行った人物を特定します。

発信者情報開示請求も削除請求と同様に任意の請求ができるサイトもありますが、ほとんど応じてもらえることが少ないため、仮処分や裁判などの法的手続きによる必要があります。

③ 逆SEOによる対策(参考)

SEOとはSearch Engine Optimizationの略称であり、「検索エンジン最適化」のことを指します。Googleなどの検索エンジンの検索結果の上位に表示したいWEBページが表示されるように工夫することです。自社のサイトが検索で見つかり易いようにサイトの内容や更新頻度の改善などの工夫が行われます。

SEOとは、このようなSEOの手法によりネガティブ情報が掲載されたWEBページを検索エンジンの検索結果の下位に表示するように工夫することです。

この方法によってもネガティブ情報が検索されにくくなるという一定の効果は見込めることもありますが、常に検索結果が下位に表示されるように対策を講じ続けなければならないことに加え、ネガティブ情報が削除されるわけではありませんので、問題の根本的な解決にはならないこともあります。

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3 グロース法律事務所のインターネット風評被害対策

以上、企業にとってインターネット風評被害対策が必須であるともいえるところ、弁護士は削除請求・発信者情報開示請求について受任することが可能です。削除請求、発信者情報開示請求のいずれの手続きにおいても法的な手続きを要することが多く、また任意の請求を行うにあたっても権利侵害の主張・立証が必要となることから弁護士の関与が必要になります。

弁護士に依頼することにより、情報発信者開示請求により、書き込みを行った個人を特定できた場合の交渉等もスムーズになります。

グロース法律事務所では、初回に限り無料相談をお受けしております。

インターネット風評被害にお悩みの場合は、一度弊所までご相談ください。

4 誹謗中傷書き込みに対するサポート内容

(1)削除請求

削除請求とは

インターネット上に発信された情報(ブログの投稿・記事、掲示板への書き込みなど)が違法に権利を侵害している場合に、当該情報の削除を求めるものです。

発信者自らが削除する権限を有している場合は、発信者に対し削除を求めることもありますが、多くの場合は当該発信された情報が公開されているウェブサイトの管理者に対して行います。

削除請求の方法

① 任意削除請求(裁判外の削除請求)

サイト上に設置された削除フォーム等を利用して削除を求める方法や、一般社団法人テレコムサービス協会が設置しているプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した削除依頼のための書式である「送信防止措置依頼書」を用いて削除を求める方法などがあります。
次の裁判手続きを用いた削除依頼に比べ迅速に削除なされることもありますが、権利侵害が認められる事案であるにもかかわらず、削除に応じないということもしばしばあります。

② 裁判手続きを用いた削除請求

裁判上の手続を用いた削除請求です。一般的には民事保全法の仮処分手続(削除仮処分)が利用されます。

(2)発信者情報開示請求

匿名者によってインターネット上に発信された情報が違法に権利を侵害している場合に、当該情報の発信者情報(IPアドレス・氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど)の開示を請求し、開示された発信者情報を基に損害賠償等を求めるものです。

発信者情報開示請求の流れ

削除請求と異なり、発信者を特定するには通常、以下の2段階の手続きが必要です。

(1)違法な発信情報が掲載されているウェブサイト等のサイト管理者(コンテンツプロバイダ)に対して発信者情報開示請求を行いIPアドレス及びタイムスタンプの開示を受ける。

(2)上記IPアドレスをもとにアクセスプロバイダに対し発信者情報開示請求を行い、発信者(プロバイダ契約者)の情報の開示を受ける。

上記の段階を経て、発信者の氏名・連絡先等の情報が判明するため、損害賠償請求を行うことが可能となります。

発信者情報開示請求の方法

① 任意発信者情報開示請求(裁判外の発信者情報開示請求)

一般社団法人テレコムサービス協会が設置しているプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した発信者情報開示請求を行うための書式である「発信者情報開示請求書」を用いて削除を求める方法などがあります。

削除請求に比べ、任意で発信者情報の開示に応じることは少ないと言えます。

② 裁判手続きを用いた削除請求

コンテンツプロバイダに対する発信者情報開示請求は民事保全法の仮処分手続を用います。

その後任意又は仮処分によりアクセスプロバイダに通信ログを保存するよう求めます。これを行わなければ一定期間を経過した場合に、通信ログが消去され、発信者情報を特定することが不可能になるからです。

上記通信ログの保存を行ったのち、アクセスプロバイダに対し、通常の訴訟手続にて発信者情報の開示請求を行います。

弁護士費用

削除請求(1書き込みに対し)

① 任意削除請求

着手金  11万円~
報酬金  16万5000円~

② 裁判上の削除請求

着手金  16万5000円~
報酬金  22万円~
※同一サイト内における複数の書き込みを対象とする場合は要ご相談
※上記に加え仮処分手続の場合は、担保金として10万円から30万円が必要となります。

発信者情報開示請求

① 任意請求

着手金  16万5000円~
報酬金  22万円~

② 裁判上の発信者情報開示請求

着手金  22万円~
報酬金  22万円~
※同一サイト内における複数の書き込みを対象とする場合は要ご相談
※上記に加え仮処分手続の場合は、担保金として10万円から30万円が必要となります。

刑事告訴

6万5000円~

損害賠償請求

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。

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