新型コロナウイルス感染症拡大時に中小企業が利用可能な資金支援について
新型コロナウイルス感染症防止による緊急事態宣言に伴い休業要請等もなされるなかで、事業主に対しても各種様々な助成・支援がなされています。
本稿では、主に中小企業・個人事業主向けの助成・支援策をまとめていますのでご参考ください。なお、下記でご紹介する制度については記事執筆時点(5月1日)のものであり、条件や期限、内容について随時変更されることが予想されますので、実際の申請等にあたってはリンク先の各HP等にてご確認ください。
Contents
雇用調整助成金(新型コロナウィルス感染症対策特例措置)
新型コロナウイルスの影響により事業活動が縮小した(1ヶ月の売上高が前年比5%減少)事業者につき、労使間の協定により休業等を実施した場合、休業手当に相当する額の一部(中小企業4/5(解雇を行わない場合は9/10)、大企業2/3(解雇を行わない場合は3/4)但し一日当たりの上限は8,330円)を助成する制度。なお、今後助成率は最大で100%、一日当たりの上限額も増額される予定です(5月1日時点)。
▼厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
持続化給付金
新型コロナウイルス感染症の影響により2020年1月から12月までの間で事業者が任意で選択した月の事業収入が前年同月比50%以上減少している事業者に対し法人あれば200万円、個人事業者であれば100万円を上限として給付される制度。5月1日から申請が開始されています。
▼経済産業省HP
https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html
▼持続化給付金事務局HP
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
小学校休校等対応助成金
令和2年2月27日から6月30日までの間に以下の①②に該当する子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業主に対し、賃金相当額の全額(但し1日1人あたり8330円が上限)を助成する制度。なお、学校の元々の休日(日曜日や春休み)の日は対象外となります。
① 新型コロナウイルス感染症に関する対応として、ガイドラインなどに基づき臨時休業などをした小学校などに通う子ども
臨時休業等とは
新型コロナウイルス感染症に関する対応として小学校などが臨時休業した場合、自治体や放課後児童クラブ、保育所などから利用を控えるよう依頼があった場合が対象となり保護者の自主的な判断で休ませた場合は原則対象外となります。
小学校等とは
小学校、義務教育学校の前期課程、各種学校(幼稚園または小学校の課程に類する課程を置くものに限る)、放課後児童クラブ放課後等デイサービス、幼稚園、保育園、認定子ども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等が含まれます。
② 新型コロナウイルスに感染した子どもなど小学校等を休む必要がある子ども
・新型コロナウイルスに感染した子ども
・新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども(発熱等の初期症状、濃厚接触者)
・医療ケアが日常的に必要な子ども、または新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患を有する子ども
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金
3の助成金は労働者が小学校等の休業のために休まざるを得ない場合に給料を支払った事業主に助成される制度でしたが、本支援金は雇用関係にない個人で業務委託契約等を締結している方(フリーランス等)向けの支援制度です。
令和2年2月27日から6月30日までの期間について、上記3における①②の要件に加え、小学校等の臨時休業等の開始日の前に業務委託契約を締結している(発注者から業務の態様や場所・日時など一定の具体的な指示を受けている必要があります。)ことが必要です。なお、学校の元々の休日については助成対象外です。
上記要件に当てはまる場合は、1日当たり4100円(定額)の支援金を受けることが可能です。
▼厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html
働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
テレワーク推進のために設けられていた働き方改革推進支援助成金について、新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組を行う場合の特例コースが時限的に設けられています。
令和2年2月17日から5月31日までの間に、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主(労働者災害補償保険の適用中小事業主)について、助成対象の取組にかかる費用の1/2(1企業あたりの上限額100万円)が助成されます。なお、実際にテレワーク実施した労働者が1名以上いることが必要です。
助成対象の取組とは
・テレワーク用通信機器の導入・運用
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発
・外部専門家によるコンサルティング
などは含まれますが、パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象外となります(5月31日までのレンタルやリース費用は対象内となりました。)。
大阪府休業要請支援金(府・市町村共同支援金)
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言により休業要請がなされるなか、各自治体が独自の休業支援を行っておりますが、本項では大阪府の休業要請支援金をご紹介いたします。他の都道府県においても独自の休業支援が行われておりますので各都道府県の支援内容を調べる際は「○○県 休業支援金」等で検索ください。
大阪府の休業要請支援金の主な対象要件は
①大阪府内に主たる事業所を有していること
②大阪府の「施設の使用制限の要請等」を受け、令和2年4月21日から5月6日まで全ての期間において対象となる施設を全面的に休業する、当該施設の運営事業者であること(食事提供施設の運営事業者は、営業時間を午前5時から午後8時までの間へと短縮する等の協力を行った場合のみ)
③令和2年4月の売上が前年同月対比で50%以上減少していること
です。5月31日まで申請が可能であり、中小企業は100万円、個人事業主は50万円が支給されます。
閉鎖する施設の運営事業者(賃借人でも可能)である必要があり、4月21日から5月6日までの間で1日でも営業している日がある場合は対象外となりますのでご注意ください。
▼大阪府HP
http://www.pref.osaka.lg.jp/keieishien/kyugyoshienkin/index.html
▼大阪府休業要請支援金に関するQ&A
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38322/00000000/0501faq.pdf
本稿では新型コロナウイルス感染症にかかる主な助成金・支援金について紹介いたしました。
上記の各種助成・支援の他にも税金の減免、支払い猶予や各種融資の優遇措置などが整備されています。これらの利用を検討し、まずは事業の継続立て直しを図り、未曾有の事態を乗り切りましょう。
徳田 聖也
最新記事 by 徳田 聖也 (全て見る)
- RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について - 2024年9月1日
- 匿名掲示板において、インフルエンサーに対する誹謗中傷が複数行われており、投稿者に名誉棄損に基づく損害賠償を行うため、発信者情報開示請求を行った事案 - 2024年8月9日
- 元代表取締役である一人株主から定時株主総会の開催及び計算書類等の閲覧請求を受けた事案 - 2024年8月9日
「新型コロナウイルス感染症拡大時に中小企業が利用可能な資金支援について」の関連記事はこちら
- 新型コロナウイルス感染予防のための休業・時短勤務命令による賃金支払い対応プラン
- 新型コロナウイルス感染予防を原因とする休業・時短勤務命令と賃金について
- 新型コロナウイルス感染症に関して企業がとるべき対応 ~労働者を休ませる場合の措置に関する留意点~
- 新型コロナウィルス感染症の影響による解雇について
- 新型コロナウイルス感染症対策としての時差出勤の実施について
- 新型コロナウイルス感染症対策として企業に求められる安全配慮義務
- 新型コロナウィルス感染症対策にかかる雇用調整助成金について
- 新型コロナウイルス感染症影響下における年次有給休暇の取得について
- 新型コロナウイルス感染症拡大時における『下請法』
- 新型コロナウイルス感染症拡大時における『個人情報保護法』
- 新型コロナウイルス感染症拡大時における『労務問題・労務管理』
- 新型コロナウイルス感染症拡大時における『契約』
- 新型コロナウイルス感染症拡大時における『株主総会』
- 新型コロナウイルス感染症拡大時における『資金繰り・倒産・事業再生』
- 新型コロナウイルス感染症拡大時に中小企業が利用可能な資金支援について
- 資金繰り対策として当面可能と考えられる支出抑制策
グロース法律事務所が
取り扱っている業務
新着情報
- 2024.12.18セミナー/講演
- 手遅れになる前の入退社トラブル対応セミナー 2025.02.13
- 2024.11.25コラム
- インスタグラム投稿を自社HPに転載したステルスマーケティング規制について弁護士が解説
- 2024.11.12コラム
- 施行されたフリーランス取引適正化法の遵守を
- 2024.10.31コラム
- 労働条件明示義務違反の報道について弁護士が解説
- 2024.10.11セミナー/講演
- 【実施済】2024年を振り返る社労士勉強会総まとめ 2024.12.12