国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウイーン売買条約)について弁護士が解説

1 ウイーン売買条約とは

企業間で国をまたがって物品の売買取引を行う場合に、相手方企業が国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウイーン売買条約)に加盟している国の企業であった場合は、その取引には当然のこととしてウイーン売買条約が適用されます。ウイーン売買条約の加盟国は日本・アメリカ・中国、ドイツ、カナダなど90ヶ国以上が加盟しています。

ウイーン売買条約が適用される加盟国企業との売買取引において、ウイーン売買条約の適用を排除したり、内容を変更したりしたいと考える場合は当事者の合意によることが必要です。よって、海外企業と売買取引を行うにあたってはウイーン売買条約の内容を理解することが必要です。

本稿では、ウイーン売買条約の適用について概要を解説いたします。

 

2 適用範囲

ウイーン売買条約は下記の条件を満たした場合に適用されます(ウイーン売買条約)第1条1項)。

  ① 営業所が異なる国に所在する当事者間の取引であること

  ② 商品の売買契約であること

  ③ 当事者双方の営業所がウイーン売買条約締結国に所在する場合または国際私法の準則によりウイーン売買条約締結国の方が適用される場合であること

 

②について、個人用や家庭用として購入された物品については本条約の適用外となります。

③について、例えば売買取引の一方の国がウイーン売買条約の加盟国ではなく、もう一方の国が加盟国であった場合に、当事者間の合意により当該契約の準拠法を加盟国側の法律によると定めた場合には、原則としてウイーン売買条約が適用されることになります。

 

3 適用の排除(任意規定性)

ウイーン売買条約は、売買の成立に関する事項(申込、承諾、撤回、到達など)と売買契約から生じる売主と買主の権利義務(所有権の移転、物品の引渡し、物品の適合性、物品の検査、契約解除など)を規律しており、その他の事項については対象とされていません。特に製造物責任については適用がないことが明記されています。

ウイーン売買条約については、各国により条項の解釈のニュアンスに違があったり、各条項に関する解決例が少ないことなどを理由として敬遠されることが多くあります。実際にウイーン売買条約は当事者の合意により適用を排除することが可能であり(6条)当該規定に基づき適用排除がなされることが多くあります。

ウイーン売買条約が適用される事項について、ウイーン売買条約と国内法と当事者の合意との優先順は、①当事者の合意、②ウイーン売買条約、③国内法という順序となります。よって、当該事項について当事者の合意が明確にない場合は、ウイーン売買条約の適用を排除する合意がない限りウイーン売買条約が適用されます。

従って、海外との売買取引の契約書リーガルチェックにおいては、ウイーン売買条約通りの規律を望まない場合には、ウイーン売買条約の適用を排除もしくは変更する条項があるか否かについて、チェックすることが不可欠です。

 

4 海外売買取引を行う際のポイント

以上を踏まえ、海外企業と売買取引を行う場合においては、

①相手方企業がウイーン売買条約の締結国か否かのチェックが必要

②ウイーン売買条約が適用される場合に、条約の適用の全面排除または一部排除・修正の必要性を検討し契約書に明記する

とのステップを踏む必要があり、注意が必要です。

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。

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