反社会的勢力排除に関する契約書・誓約書の作り方を弁護士が解説

弊所のお問合せやホームページの閲覧においても、反社会的勢力排除に関する誓約書等については極めて高い関心をお持ちいただいております。

以下では、反社会的勢力排除に関する契約書・誓約書の作り方を解説致します。

 

1 反社会的勢力とは

反社会的勢力とは、一般に暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等、暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人を指します。

契約書に反社会的勢力排除に関する条項が記載されていることは今日では多く見られるようになってきました。

上記「反社会的勢力」の定義に該当するかどうかは、

①「属性要件」

暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等の属性に該当するか

②「行為要件」

暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為を行っているか

という要件から総合的に判断しており、契約書や誓約書の記載もそれを前提としています。

 

2 「属性要件」について

ここで各「属性要件」については、あまり耳慣れない用語も出てきますので、各属性の定義について、解説を致します。警察庁組織犯罪対策要綱によれば、以下のとおり定義されています。

 

ア 暴力団

その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。

イ 暴力団員

暴力団の構成員をいう。

ウ 暴力団準構成員

暴力団又は暴力団員の一定の統制の下にあって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等を行うおそれがある者又は暴力団若しくは暴力団員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持若しくは運営に協力する者のうち暴力団員以外のものをいう。

エ 暴力団関係企業

暴力団員が実質的にその経営に関与している企業、準構成員若しくは元暴力団員が実質的に経営する企業であって暴力団に資金提供を行うなど暴力団の維持若しくは運営に積極的に協力し、若しくは関与するもの又は業務の遂行等において積極的に暴力団を利用し暴力団の維持若しくは運営に協力している企業をいう。

オ 総会屋等

総会屋、会社ゴロ等企業等を対象に不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。

カ 社会運動等標ぼうゴロ

社会運動若しくは政治活動を仮装し、又は標ぼうして、不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。

キ 特殊知能暴力集団等

アからカに掲げる者以外のものであって、暴力団との関係を背景に、その威力を用い、又は暴力団と資金的なつながりを有し、構造的な不正の中核となっている集団又は個人をいう。

 

 

3 「行為要件について」

「行為要件」については、契約書中に具体的に記載されている例が多いと思いますが、これらの属性を有する者を利用した行為等が禁止行為として具体的に記載されています。

例えば、

☑反社会的勢力を利用して、業務を妨害し、またはその恐れのある行為もしくはその他の不正行為をしていること。

☑反社会的勢力を利用して、名誉や信用等を毀損し、またはその恐れのある行為をすること。

☑反社会的勢力を利用して、詐術、暴力行為もしくは脅迫的言辞を用いること。

☑自らが反社会的勢力である旨を伝え、または関係団体もしくは関係者が反社会的勢力である旨を伝えること。

といった条項です。

 

4 契約書に記載する意味

契約書や誓約書において反社会的勢力排除に関する条項を規定する意味は、契約の入り口の段階で相手方の注意を喚起することになりますので、仮にこの条項があるが故に契約締結を拒む相手方がいるとすれば、当然ながら契約は締結すべきではありません。

また、一般的には、契約書中、契約解除事由として、反社会的勢力排除に関する約定の違反が設けられていますし、無催告解除を可能とする事由としても記載しておくべきです。加えて、相手方の上記約定違反を理由に解除した場合に一切の損害賠償義務を負わないことについても、念のため記載しておくことが望ましいと言えます。

こういった視点から、再度お手持ちの反社会的勢力排除に関する条項をチェックいただきたいと思います。

 

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谷川安德

谷川安德

谷川安德 大阪府出身。立命館大学大学院法学研究科博士前期課程(民事法専攻)修了。契約審査、労務管理、各種取引の法的リスクの審査等予防法務としての企業法務を中心に業務を行う。分野としては、使用者側の労使案件や、ディベロッパー・工務店側の建築事件、下請取引、事業再生・M&A案件等を多く取り扱う。明確な理由をもって経営者の背中を押すアドバイスを行うことを心掛けるとともに、紛争解決にあたっては、感情的な面も含めた紛争の根源を共有すること、そこにたどり着く過程の努力を惜しまないことをモットーとする。
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