「買いたたき」に関する下請法運用基準の改正について
昨今の人件費や原材料費の高騰は未だとどまる傾向にありません。
このような中においても、下請事業者たる中小企業などはこれを取引価格に転嫁できないまま、従来の価格どおりで受注をせざるを得ない状況が見受けられます。
従来の価格が据え置かれる場合においても、親事業者と取引価格について明示的な協議を行ない、その結果として据え置かれているケースもあれば、そのような協議がない場合や、あるいは価格改定の申し出に対して、具体的な返答がないまま、結果として従来の取引価格が据え置かれているケースがあります。
このような状況を踏まえ、公正取引委員会は、コストの上昇を取引価格に反映しない取引は, 下請法上の「買いたたき」に該当するおそれがあることを明確化するため,下請法の運用基準を改正しました(令和6年5月27日公正取引委員会事務総長通達第4号)。
具体的には、以下の例を「買いたたき」に該当する可能性がある例として明記し、今後、これらの違反行為には、迅速な指導や勧告等がなされる可能性がありますので、特に親事業者においては、下請事業者との取引、交渉状況に関し、今一度見直しと必要な改善が求められます。
下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準から抜粋
(https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/unyou.html)
5 買いたたき
(2) 次のような方法で下請代金の額を定めることは,買いたたきに該当するおそれがある。
(中略)
ウ 労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について,価格の交渉の場において明示的に協議することなく,従来どおりに取引価格
を据え置くこと。
エ 労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストが上昇したため,下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず,価格転嫁をしない理由を書面,電子メール等で下
請事業者に回答することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと。
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谷川安德
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