入社時誓約書に関する解説  

従業員を雇用する際、入社後に遵守してもらいたい事項について、誓約書を提出させる場合があります。

特に、秘密保持に関する事項や競業避止・従業員の引抜に関する事項については入社時誓約書を取得しておくことが紛争防止に役立ちます。

以下、ひな型記載事項のうち、主な条項について解説いたします。

 

第1条 就業規則の遵守

労働者と紛争になった場合に、労働者が就業規則を確認していないと主張することがあります。誓約書において労働者が入社時において就業規則を確認したことを明記することにより、後に就業規則を確認していないという主張を防止できる場合があります。

 

第2条 入社時表明事項

履歴書等の記載事項及び面接における受け答えは、雇用の決定において重要な事項です。これらに関する虚偽記載は、解雇事由や試用期間後の本採用拒否事由になり得ます。

従って、履歴書記載事項等について真実と相違ない旨を誓約してもらい、虚偽記載が発覚した場合に解雇・本採用の理由とするための項目です。

 

第3条 機密保持

機密保持については、就業規則等にて定められている場合であっても、会社として特に護るべき機密情報を有している場合は、個別に誓約をしてもらうことが重要です。

対象従業員について、護るべき機密情報が特定できる場合は、個別具体的な機密情報を記載し、機密保持を誓約させることが重要です。

 

第4条 競業避止

退職後の競業避止義務は、就業規則や個別の合意などにより事前に定めておかなければ課すことができません。退職時には競業避止の誓約書を記載してもらうことが困難な場合がありますので、入社時に取得しておくことが必要です。

また競業避止義務は、元従業員の職業選択の自由を制限することになりますので、無制限に課すことはできません。

・競業避止を設ける正当な目的(企業として何を護るか)

・従業員の地位

・地域・期間の制限

・競業行為全てを禁止するか、特定の行為を禁止するか(顧客への接触行為のみ制限する)

・代償措置の有無

これらを総合的に考慮して競業避止規定(合意)の有効性が判断されますので、誓約書においても、広範な範囲の競業避止義務を定めるのではなく、地域や期間、いかなる行為が禁止されるかなどを記載し、有効な規定となるよう工夫する必要があります。

 

第5条 引き抜き禁止

競業避止と同様に、退社後の元従業員による在職者への引き抜き行為を制限するには、就業規則や個別の合意によることが必要です。従って、誓約書に記載しておくことが必要です。

 

以上、入社誓約書のひな形の解説を行いましたが、あくまでも一般的な記載事項にとどまっており、特に秘密保持や競業避止義務については、個別具体的な検討が必要となります。

競業避止義務については、規定が無効になると競業行為を止めることが困難になりますので、悩まれた場合はぜひ弊所までご相談ください。

 

 入社時誓約書のひな形はこちら

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。
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