介護事業者指定取消処分における聴聞手続対応について

1 介護事業者に対する指定取消処分

介護事業者が人員基準や運営基準などに違反した場合や不正請求や不正又は著しく不当な行為を行ったと判断されると、介護保険法上の指定取消事由に該当し、行政から指定取消処分がなされる場合があります。指定取消処分が行われると介護保険法の適用を受けて保険請求を行うことができなくなり、事実上事業を行うことができなくなってしまいます。

指定取消処分が行われるにあたっては、事前に必ず指定取消処分を受ける事業者の意見を聞く「聴聞」という手続きが開かれます。つまり最終的な処分の決定前に不利益処分を受ける事業者の言い分を聞く手続です。この聴聞手続に参加するかしないかは事業者の判断に委ねられますが、聴聞手続に参加しなければほぼ間違いなく指定取消処分が下されます。

よって、指定取消処分を回避したい場合は、必ず聴聞手続にて意見を述べる必要があります。

 

2 聴聞手続の流れ

行政庁が指定取消処分を予定する場合、事業所に対して聴聞告知書が届きます。聴聞告知書には以下の事由が記載されています。

・予定される不利益処分の内容

(例:指定取消処分)

・不利益処分の根拠となる法令等の条項

(例:介護保険法第77条第1項第6号 不正請求)

・不利益処分の原因となる事実

(例:人員基準を満たしていなかったにもかかわらず、これを指定権者に報告せず事業を継続し、介護給付費を不正に請求し受領した。)

・聴聞の期日、場所、主宰者など

聴聞の期日は、通常2週間程度先が指定されています。

 

また、聴聞手続における教示事項として以下の事項も記載されています。

・聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること

・聴聞が終結するまでの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

 

そして、聴聞期日当日は、あらかじめ指定された場所で聴聞が行われます。聴聞には代理人を出頭させることや利害関係を有する者を参加人として参加させることを求めることができます(参加人は事前の許可が必要です。)。

聴聞手続においては、冒頭行政庁の職員が予定される不利益の内容・処分の根拠となる法令・不利益処分の原因となる事実が説明されます(通知書の内容が読み上げられるだけです。)。

その後、処分を受ける者から行政庁に対し、質問の機会や証拠物を提出して意見を述べる機会が与えられます。この機会に行政庁の事実認定や法律のあてはめ、解釈に誤りがあり、指定取消処分が妥当でないことを主張・立証することになります。

聴聞期日は続行することも可能であり、質問や意見の内容によっては別日に期日が続行されることがあります。

聴聞期日終了後は、主宰者が聴聞の心理の経過を記載した調書を作成するとともに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を提出します。

そして、当該報告書を十分に参酌して行政庁は最終的な不利益処分の内容を決定します。

 

3 聴聞に臨むにあたって必要なこと

(1) 不利益処分の原因となる事実の詳細な把握

不利益処分の原因となる事実は聴聞通知書に記載されているものの、漠然とした記載がなされていることも多く、それだけではいかなる事実に基づき処分がなされているのか把握できないことも多くあります。聴聞手続においては、不利益処分の原因となる事実に関する反論が必要であることから、事前に当該事実を詳細に把握する必要があります。

これは聴聞手続終了までに認められている不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧手続きを利用して明らかにする必要があります。これらの資料を詳細に検討し、行政庁の判断に誤りがないか検討することになります。

また、資料の閲覧によっても事実関係が詳細に判明しない場合は、聴聞手続における質問の機会を通じて明らかにするように求めることになります。

いずれにしても、事前の資料の閲覧は必須の準備事項となります。

(2) 質問事項及び意見の作成

聴聞手続において、行政庁を納得させるだけの意見を述べる必要がありますので必ず意見を準備し、またできるだけ効果的な質問を行う必要があります。事前の資料閲覧で判明しなかった事実などは必ず質問事項して準備する必要があります。

(3) 根拠となる法令の検討

行政庁は法令に基づき不利益処分を行っており、当該法令の解釈や事実関係の法令へのあてはめ・適用に誤りがある場合は不利益処分を行うことができません。従ってその点を指摘するためには、事業者側も根拠となる法令の解釈やあてはめについて事業者も理解しておく必要があります。

(4) 聴聞への準備期間の確保

聴聞手続に臨むにあたっては、少なくとも上記の準備が必要です。しかし、上記の準備は到底2週間程度では間に合わないことも多くあります。従って聴聞期日を延期してもらう必要性が高くあります。

期日の変更は必ずしも認められるものではありませんが、初回の聴聞期日は行政庁から一方的に指定されるものですので、申し入れにより比較的変更が認められやすいと言えます。よって、積極的に期日変更の申し入れを行う必要があります。

 

4 グロース法律事務所の聴聞手続代理人就任サービス

指定取消処分が予定され、当該処分を回避したい場合は必ず聴聞手続に参加し、意見を述べる必要があります。

聴聞手続に臨むにあたっては、少なくとも上記の準備を行ったうえで、聴聞期日において効果的な質問を行い、適切な法令の解釈に基づいた意見を述べる必要があります。しかし、短い準備期間の中でこれらのことを事業者の皆様が行うことは極めて困難です。

グロース法律事務所では、介護事業者様へのサービスとして不利益処分(指定取消処分等)に対する聴聞対応(代理人就任)のサービスを提供しております。

予定されている処分の内容、根拠法令、不利益処分の原因となる事実を検討し、聴聞期日に立会って質問し、証拠物と共に意見を述べ、必要な場合は意見書を作成いたします。指定取消処分が予定され聴聞通知書が届いた場合は、ぜひ一度ご相談ください。

【グロース法律事務所の指定取消処分聴聞対応】

着手金  44万円~

報酬   55万円~

 

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徳田 聖也

徳田 聖也

德田聖也 京都府出身・立命館大学法科大学院修了。弁護士登録以来、相続、労務、倒産処理、企業間交渉など個人・企業に関する幅広い案件を経験。「真の解決」のためには、困難な事案であっても「法的には無理です。」とあきらめてしまうのではなく、何か方法はないか最後まで尽力する姿勢を貫く。
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